まず、アジアに出ろ 来イしたセルジオ越後さん 日本サッカー界に喝
「日本のサッカーはセミプロ。日本リーグ時代の企業スポーツから抜け出せないまま。(日本協会とJリーグの間で意志決定がままならない)『ねじれ協会』になっている」。5回目の来イを果たした評論家セルジオ越後さんが20日、中央ジャカルタのじゃかるた新聞を訪れ、日本サッカーの現状を一刀両断した。
―五輪が開幕する。
セルジオさん 五輪代表は女子に(話題を)持っていかれた。強豪と試合を組み、合宿をし、万全の強化ができた。優勝が期待されている。一方、男子はクラブが選手を出したがらず、良い強化ができていない。強化と興業を一緒にするから、強い相手と試合ができない。
香川は五輪を断った。いまは日本人は皆マンチェスター(・ユナイテッド=MU)ファンになって、香川が五輪より、ビッグクラブでプレーすることを望んでいる。日の丸はどうしたのか。何のために海外に出たのか。
―問題は何か。
選手を招集しようにもクラブが出したがらない。(11日の)ニュージーランド戦でも、クラブとの約束で、選手は90分間フル出場しない決まりだった。「日本のサッカーのため」ができないんだ。Jリーグと日本サッカー協会の関係を見ると、「ねじれ協会」だね。
協会はJリーグ発足から20年経って、危ない状況にある。厳しさがない、監査もない、会長選もない、小さな世界。日本リーグ時代のアマチュアからセミプロになった程度だ。一度減ったら戻らない「予算社会」で、どれだけ予算を使い切るかを考えている。そこをマスコミが監査すべきだが、どうもスポーツに関しては、「いや‥」という感じになる。プロは批判が飛ぶ厳しい環境で鍛えられるのに。
Jリーグは企業の後援がなければままならず、当初掲げた「地域密着」ができていない。欧州を見習ってほしい。経済危機でも、選手はみんな欧州に行く。
Jリーグには「飛ばされた」社長が来る。日本リーグ時代のサッカー部長の名前が「社長」に変わっただけ。1、2年でいなくなるのだから、5年、10年の長い視野を持てない。
―これから何が必要か。
アジアのマーケットに出るべき。MUは香川の移籍金を日本人へのグッズ販売で賄っている。大リーグも日本からの収益が多い。例えばインドネシアから有望な選手をJ2に入れたらどうか。年俸600万円もらえたら、選手はどう思うだろう。選考はビッグイベントになる。MU、アーセナルはもうインドネシアに来ている。日本と関係が深く、2億4千万の人口があるこの国を放っておくべきじゃない。相手の国民が日本を好きになるスポーツ外交、サッカー外交だ。
―フル代表はどうか。
W杯のアジア枠は4.5枠。増やしたからW杯に行ける。4.5枠あれば、(アジア枠が2だった)「ドーハの悲劇」はなかった。最終予選は勝ち点7と好調だが、3次予選はウズベキスタンが1位だった(日本は2位通過)。みんなすぐ忘れるんだ。