MRTの採算性
クナパくん ジャカルタMRTが1日の最大乗客数の新記録を更新したね。
記者 11月15日の乗客数は16万3162人。これが開通以来の1日の最大乗客数とのことだよ。ちなみに最近の日平均乗客数は、9月が10万968人、10月が11万4344人という。新記録となった11月15日は、イギリスのロックバンド・コールドプレイのコンサートに合わせてMRTが運行スケジュールを変える粋な計らいをしたことが功を奏したね。
クナパくん 日本でも、都市交通が運行時間をイベントに合わせて変えるの?
記者 大みそかとか、オリンピックの時ぐらいかな。終電から始発までの間は、都市鉄道は休んでいるわけではなくて、保守・点検をしているからね。安全運行のための大事な時間なので、あまりスケジュールを変えることはしないね。ジャカルタMRTは質の高い公共サービスを提供するため、とても柔軟な対応をしたといえるね。
クナパくん 今回ジャカルタMRTは、どのくらいスケジュール変更をしたの?
記者 通常は月曜日から金曜日までは午前5時から深夜0時までで、ピーク時に5分間隔で運行されている。土曜日と日曜日はこの運行間隔が10分になるね。コンサート当日は、午後7時から当日の終電までの運行間隔は10分だったけど、終電を翌朝1時30分までとしたよ。
クナパくん ところで、どのくらいの乗客が利用すると採算性があうのかな?
記者 鉄道収入確保の仕方は、運賃収入のほかに売店や広告の収入もあるんだよ。運賃収入だけで賄うことを考えると、10㌔から15㌔の都市交通で1日30万〜40万人って言われてるよ。公共性の高いMRTやLRTなどの都市交通は、採算性だけで検討すべきでないと10月24日に大統領が言っていたね。実際、公共性の高い交通機関は、公共サービスの責務(Public Service Obligation: PSO)によって、誰でもが気軽に利用できるような低めの運賃設定にされているんだよ。インドネシアでは、高速道路整備などは採算性が高く民活案件となっているよね。都市鉄道には、車やオートバイの保有に関係なく、質の高い移動サービスを提供する義務があるんだ。
クナパくん 公共的に重要なMRTなどの財源をどう用意するかを考え実行することが政府の仕事ということだね。