進化するジャカルタの今 ブロックM マルタ・ティアハフ・リテラシー公園

 ハロウィンのイベントで警戒されていた渋谷。街のシンボルであり待ち合わせスポットでもあるハチ公が封鎖されたという報道もありました。そもそも大都会の繁華街、駅前の待ち合わせには大勢の乗客が利用する安全な公共交通機関と、集まりやすい駅前広場が必須なわけで、それが街の大きな魅力のひとつなのかも知れません。今月のおすすめ観光情報は、ジャカルタ版ハチ公前広場になり得るかの期待も込め、進化を続けるジャカルタの新しい文化も垣間見ることができる、南ジャカルタのマルタ・ティアハフ・リテラシー公園を紹介します。

 マルタ・ティアハフ・リテラシー公園はMRTのブロックM駅とほぼ直結の徒歩5秒、マルク出身のインドネシア国家英雄マルタ・クリスティーナ・ティアハフにちなんで名付けられた公園です。インドネシア在住歴が長い方の中にはブロックMのバスステーション横のこの場所がかつてフェンスで囲まれ、噴水や動物のオブジェがある子ども用の公園だった事を覚えている方もいると思いますが、馴染み深いリトル東京日本人街のブロックMとは言っても車移動がメインで足を踏み入れたことはないという方がほとんどだと思います。
 実際、当時は木々に覆われ死角も多くジャカルタっ子たちであっても治安や衛生面から気軽に入っていいのかわからない雰囲気が流れていました。しかし、ブロックMエリアにはリトル東京だけではなく、何でもそろう大型ショッピングモール、トランスジャカルタのバス停など集客力のある施設があるうえにMRTが開通。コロナ禍でオープンエアーでの食事や団らんが一般化したことで、半ば放置されていたこの一等地の古びた公園にも再開発の手が入ったのでしょう。
 生まれ変わった集いの場。ドーナツ状の建物は屋上がテラス風になっていて回遊したり写真を撮ったり、日暮れ以降ならちょっとした夕涼みにもなりそう。MRTの電車ビューなので鉄道好きにもおすすめです。ただ、カラカラの乾期の今、日中は立っているだけでも暑いのでしっかりと水分補給することも忘れずに。グランドフロアにはお洒落なカフェが複数あるので安心です。
 さて、水分補給が完了したらこの公園の1番の目玉、「リテラシー公園」の名のとおり北側入口付近にある誰もが無料で利用できる図書室に行ってみましょう。一見、本棚が目を引く新しいタイプのカフェかなというビジュアルとサイズ感ですが実は飲食禁止で静粛が保たれた異空間。靴を脱いで入り、床に座ったり寝転んだりしての、まったり読書がコンセプトです。もちろんエアコンも利いていて普通の椅子とテーブルもあります。
 大都会の雑踏の真ん中でこのなんとも特別な無音空間。インドネシアでは書店の本はビニールがかかっていて立ち読みをすることができないことが多いので気軽に本を手に取ってページをペラペラとめくることができるのもありがたいところです。そう言えば、コロナ禍では他人と空間や物を共有することができなかったことを思い出し、こんな些細なことに改めて自由の喜びを実感しました。
 今、ジャカルタではひそかな図書館ブームだとか。コロナ禍の活動制限中に常習化を強いられた会話禁止とアフターコロナの開放感がブレンドされた新しい都市の共有空間。ライブラリーはそんな新文化なのかも知れません。皆さまもマルタ・ティアハフ・リテラシー公園でマイナスをプラスに変えながら進化するジャカルタの今の姿を体験してみてはいかがでしょうか。(日本旅行インドネシア 水柿その子 写真も)

◇PT. JABATO INTERNATIONAL
電話 021・520・2091
メール sonoko_mizugaki@jabatojkt.com

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