インドネシア文化が輝る ラヤンラヤン博物館 風にゆれる凧
雨ばかりのジャカルタです。3月といえば、日本なら春。桜、卒業、旅立ちなど輝きに満ちた新しい季節に胸を膨らませる月。希望を抱き、青く高い空を見上げるとそこには悠々と風に身をゆだねる大凧……なんて光景は素敵ですね。かつては子どものお正月遊びの定番だった凧揚げ。インドネシアにも日本と同じような凧揚げ文化があり、バリ島の凧揚げフェスティバルなど大規模な大会が開催されるほど活発です。今月のおすすめ観光情報は、雨と雨の晴れ間にインドネシアでも楽しみたい凧(カイト)の博物館、インドネシア・ラヤンラヤン博物館を紹介します。
インドネシアの凧揚げ文化について学ぶことができる博物館、インドネシア・ラヤンラヤン博物館は南ジャカルタにインドネシア初の凧博物館として2003年に開館しました。「ラヤンラヤン」はインドネシア語で「凧・カイト」の意味です。博物館はインドネシアの伝統的な建築を活かした作りになっていて近代的なギャラリーを想像しているとまったく異なります。入館者を迎えてくれる門の佇まい、苔むした煉瓦、繊細な木彫り細工、石像、見上げるほどの大木など、ここだけは全くの別世界。異次元に入り込んだような温かさと芸術的な雰囲気に癒しの空気が立ち込めています。
博物館内ではまずビデオ映像を鑑賞します。インドネシアでの凧揚げは、伝統文化としても気象調査など科学的な目的でも使用されてきたとの紹介や、特に根強い凧揚げ文化を持つ地域、凧の種類や揚げ方などを解説しています。インドネシアには大きく分けて、立体的で大型の凧、伝統的な絵柄の凧、飛ばし方や操り方を競うスポーツ凧の3種類の凧があるのだそうで、展示室にはそれら本物の凧の数々、凧揚げ大会の歴史を物語るメダルやトロフィーなどの記念品、新聞や雑誌で紹介された内容などが所狭しと展示されています。カリマンタンの伝統的絵柄をあしらった凧、影絵芝居のワヤン人形のような凧、水尾ひれ背びれをゆらゆらと揺らしながら水中を泳ぐ姿そのもののような魚の立体凧……。インドネシアの伝統的なそれらのどれにも、「凧」でも「カイト」でもなく「ラヤンラヤン」と呼ぶことこそがふさわしいインドネシア独自の文化なのだという迫力と説得力がみなぎっています。
珍しい葉っぱ製のラヤンラヤンにも注目です。イモの葉や竹など植物素材でできた鳥などをモチーフにしたラヤンラヤンは東南スラウェシ州のムナ島に伝わる独特の文化で、巨岩と草むらの中に埋もれた洞窟壁画の中にも描かれているほど、この土地には凧上げが太古の昔から存在されていたのではという説もあるとのこと。また、展示品の中には日本など世界各地の凧もあり、一通り見学した後は実際に凧作りもできます。博物館としての規模は大きくはありませんが、この空気感とインドネシアらしさを体験するにはとてもおすすめの場所、インドネシア・ラヤンラヤン博物館。皆さまもぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。 (日本旅行インドネシア 水柿その子、写真も)
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