伝統と異国情緒漂う近代都市への道のり スラカルタ要塞と公衆トイレ 中部ジャワ

 中部ジャワの古都、ソロ。ジョグジャカルタから北東へ約75キロメートル、地図アプリで表示される通り正式名称はスラカルタ市ですが親しみを込めた愛称ソロの名で通っています。かつては名曲「ブンガワンソロ(ソロ川)」の心に染み入るメロディが旅情を誘い、近年ではジョコ・ウィドド元大統領の出身地として日本人にも広く知れ渡る街。今回のおすすめ観光情報はソロに所在する文化的にも歴史的にも貴重な2カ所の見どころ、スラカルタ要塞となんとも珍しい公衆トイレを紹介します。 

 スラカルタ要塞、正式名称ヴァステンブルク砦はソロの中心地でこの地の歴史を今に伝えています。オランダ統治時代、インドネシア各地には多くの要塞が建設されました。海岸や高台など外部との防衛や戦いのためであろう要塞もあれば、歴史上のどこかのポイントで破壊され廃墟のような状況で維持されているもの、跡形もなく消えてしまったものなど目的や現在の姿も様々です。
 スラカルタ要塞は中部ジャワ地域の植民地管理者やオランダ東インド会社の守備隊の居住や防衛を目的に建設されたのだそうです。一説には1755年完成とありますが、要壁には1775と掲げられていてその年代差に知り得ない謎が込め入れている気もしてそういうところからもなお一層好奇心が湧いてきます。
 その後、オランダ人居住区としての役割が薄れてくると要壁周辺に公共施設が建設されるようになり都市形成が発達していきました。その頃建設された銀行、教会などの美しい建造物は今も建材で要塞周辺に異国情緒を漂わせています。
 要塞自体も改修や改築はされているのでしょうが街のアイコンとしてこれだけ良好な状態で残っていることからもソロの街でヴァステンブルク要塞が大切にされていることが伝わります。時には無料イベントなどの会場として利用されているということで市民にも親しまれているのでしょう。
 もうひとつのおすすめはガラッと変わってトイレです。観光のおすすめがトイレとはこれまたいかに?
 1937年に建設された公衆トイレ「ポンテン」は、当時ジョグジャカルタ、スマラン、バタビアなどインドネシアの主要都市のほとんどを手掛けたた著名な都市計画家、オランダのトーマス・カールステンが設計した画期的で急進的な公共トイレなのです。
 看板の説明書によると、「ポンテン」には伝統と近代を組み合わせているという意味合いがあるのだそうで、確かに外観からは時代も何の建物なのかもよくわからない斬新さが際立ちます。
 ずっと昔の遺跡のような、それでいてなんだかとてもモダンだし、宗教施設ではなさそうだけど住宅としては少々異質…いったい何?という不思議な建物が整備された公園風の敷地内で保管されています。
 見学のための出入りは自由。建物をぐるっと周って見てみると個室といわゆる和式の設備が見つかりました。現在は用をたして良いのかどうかは不明ですが、当時を想像すると公衆衛生の概念や施設がまだ珍しかったはず。その時代に街中に公衆トイレが建設され、現在も残っていることは驚きです。
 日本の清潔で安全な公衆トイレが外国人観光客の人気を呼んでいるという話を聞きました。私たちも教科書では知り得ないソロの歴史を体感あいながら88年前からインドネシアに存在していた公衆トイレを観光してみても面白いのではないでしょうか。(水柿その子、写真も)

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