進化する人工降雨
クナパくん 雨って人工的に降らせることができるの?
記者 人工降雨のことだね。今のところ、人工的に雨を降らせるには「雨雲を作る」か、もしくは「雨雲から任意に雨を降らせる」かの2つのアプローチがある。「雨雲を作る」は結構大変で、実用的なのは「雨雲から任意に雨を降らせる」だね。
クナパくん どうやるの?
記者 まず、雨が降る仕組みだけど、日本など雲の温度が寒い0度以下では雲粒の一部が凍って氷粒になるんだ。そして、氷粒の周囲にある雲粒が氷粒に付着して凍っていくことで氷粒が大きく成長する。やがて重くなって落下して、雪か、落下途中で温度が上がって溶けて雨になるんだ。インドネシアのように雲の温度が暖かく0度以上のところでは、雨雲の中に氷粒はできなくて、雲の中を動き回る雲粒同士が衝突して、合わさってだんだん大きくなり、やがて重くなって落下して雨になるんだよ。
クナパくん 日本でも人工降雨をやっているの?
記者 有名なのは、東京都の例だね。渇水対策の一環として、多摩川水系の小河内ダム(奥多摩町)に人工降雨装置を設置している。人工降雨は雨雲の中に人工的に「核」を作ること。ヨウ化銀とアセトンの混合液を燃焼させ、煙を噴射し、上空の雨雲の中で人工的に氷結晶の核をつくり、雨を降らせる仕組みだね。
クナパくん インドネシアではどう?
記者 泥炭・マングローブ再生庁(BRGM)が国家防災庁(BNPB)と協力し、泥炭地の火災を防ぐために人工降雨を使って水の蓄えや森林火災に対応しているよ。積乱雲に塩化ナトリウムを付着させて即座に結露させ、雨を降らせる試みだ。2021年にはリアウ、南スマトラ、西カリマンタン、ジャンビで実施されたんだ。自然降雨と比較して2%から69%に降雨が増えたらしいね。今年はリアウ、ジャンビ、南スマトラ、西カリマンタン、中央カリマンタン、南カリマンタン、パプアなどが対象候補地に挙がっているよ。
クナパくん 雨を降らせないこともできるの?
記者 雨雲から事前に雨を降らせてしまうやり方があるよ。北京オリンピックの開会式の時に用いられたといわれているよ。
クナパくん スハルト元大統領がゴルフを楽しむ際に呪術師(ドゥクン)にお祈りをしてもらって晴れにしていたらしいけど、近年は科学的になってきたね。