【３都市スポーツ大会特集】　２００人がバリ島で熱戦　親善深める２日間　あすから３都市スポーツ大会　柄澤実行委員長　「今年も盛り上がろう」　

　３都市親善バリスポーツ大会（主催・バリ日本人会、ジャカルタ・ジャパンクラブ＝ＪＪＣ、東部ジャワ日本人会＝ＥＪＪＣ）が２６、２７日の２日間、バリ島で開催される。日本人を含む２０２人が犠牲となった２００２年の爆弾テロ後に、沈滞ムードを乗り越えようと始まった同大会は、今年で１０回目の節目を迎える。バリとジャカルタ、スラバヤの在留邦人が約２００人集まり、サッカー、バドミントン、テニス、ソフトボール、ゴルフの５種目で交流。実行委員長の柄澤裕一さん（３９）は「みんなで協力して作る大会。今年も例年以上に盛り上がりたい」と意気込む。（岡坂泰寛）

　２６日はサッカーとバドミントン、テニス、ソフトボールの４種目、２７日はゴルフの１種目を行う。すでに競技を終えた種目の表彰式を兼ねた合同懇親会は、２６日午後６時からクタにあるＤＦＳギャラリア２階の中華レストラン「エマ」（Ｊｌ．　Ｂｙｐａｓｓ　Ｎｇｕｒａｈ　Ｒａｉ、電話０３６１・７６１・９６５）で開催する。
　３都市に住む邦人が多数集まる大会で、各種目の担当者や運営スタッフが開催に向けて奔走。今年で３回目の参加となる柄澤委員長は「これまでに都市間の協力関係も構築され、今年も助け合いながら準備が進んでいる」と話す。懇親会では、親睦を深めるためのゲームなども企画中だ。
　毎年、熱戦が繰り広げられる各種目。ライバルでもあるチーム同士で惜しみない拍手が送られる。昨年の大会では、ソフトボール、サッカー、テニス、バドミントンの４種目でジャカルタが勝利。ゴルフはスラバヤが圧勝で連覇を果たした。バリチームは節目の第１０回ということもあり、今年は優勝に向けてさらに力が入る。
　大会自体は２日間だが、ジャカルタやスラバヤの在留邦人にとっては、競技の合間に島の雰囲気を満喫できるのもバリで開催する大会の魅力だ。

◇「頑張ろう」合言葉に‥
　初開催から節目の１０回　０５、１１年は震災チャリティー　２００２年１０月１２日、バリ島クタのレギャン通りで２０２人が犠牲となった爆弾テロ事件が発生した。三都市親善バリ・スポーツ大会は、主要産業である観光業の低迷から挽回を図ろうと「がんばろう！　バリ」キャンペーンを展開していたバリ日本人会が企画し、翌０３年から始まった。
　ジャカルタ、スラバヤ、バリの日本人会が一つの行事を共催するのも、三都市に散在する日本人が一堂に会してスポーツ大会を開くのも、初めての試みだった。「元気なバリは自分たちで」と目標を定め、第１回大会はテニスとサッカーの大会を企画した。
　邦人交流史に新たな１ページを加えた同大会。現在では、３都市の日本人が交流する恒例行事となっており、各都市のスポーツ愛好家たちにとっても年に一度の楽しみな大会としてすっかり定着した。
　２３万人が犠牲となった０４年のスマトラ沖地震・津波、日本を襲った昨年の東日本大震災などの後は、チャリティー大会としても開催されてきた。「頑張ろう！　アチェ」「頑張ろう！　ニッポン」。在留邦人が連帯感を強めるのにも一役買っている。
　０５年にはバリで再びテロが起き、バリの観光業は苦境に立たされた。開催を心配する声もあったが、盛況のうちに大会を無事終え、テロの懸念を吹き飛ばした。「この大会の火を絶やさず続けてくれたバリの皆さんに感謝したい」との声が、ジャカルタとスラバヤの参加者から上がり、翌年の再会を強く誓い合った大会となった。
　親睦が第一目的の同大会だが、毎年各種目で真剣勝負の熱戦が繰り広げられ、家族や友人などによる各チームの応援にも熱が入る。「今年こそは」と優勝を誓うチーム、友情と努力をテーマに掲げるチーム‥。毎年新しいメンバーも加わり、各チームのカラーもさまざまだ。
　バリ島の外国人観光客は、テロ事件の影響による観光業の冷え込みを経て、１１年には３００万人近くまで増加した。依然として観光客は増え続けており、近年の急速な経済成長を背景に、国内の観光客も増加している。
　独特の伝統文化や美しいビーチ、温厚なバリ人の心‥。多くの人々を魅了する「神々が住む島」で行われる節目の第１０回大会でも、あふれる開放感の中で温かく交流する邦人たちの姿が見られそうだ。