多様性のインドネシア空軍⁉
クナパ君 プラボウォ国防相が次期戦闘機として、オーストリアから中古のユーロファイター・タイフーンの購入を検討していることが話題になってるね! いい機会だからインドネシア空軍について知りたい。
記者 まず、インドネシア空軍は1946年設立で、現在の東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国では、タイ空軍の次に古い。
クナパ君 46年のインドネシアと言えば、独立戦争の真っ最中だね。
記者 そう。設立当初は旧日本軍が残した戦闘機を多数運用して、独立戦争を戦った。ジョクジャカルタ特別州のインドネシア空軍博物館には、その一部が現存しているよ。
クナパ君 例えば?
記者 「ゼロセン」こと零式艦上戦闘機が注目されがちだが、ここでは加藤隼戦闘隊でおなじみの名機「隼」を推したい。胴体に描かれた日の丸の下半分を白く塗って、インドネシア国旗「メラプティ」仕様になっているんだ!
クナパ君 それは痺れるね! ところで、インドネシアは米国のF16とロシアのスホイ、「東西両陣営」の戦闘機を主力に揃えているんだね。
記者 似たような運用は隣国マレーシアでも見られる。これは調達元を分散させることで、政治的中立を保つねらいがあるそうだが、インドネシアは少々事情が異なる。
クナパ君 どういうこと?
記者 戦後しばらくの間、インドネシアは米国とソ連双方の戦闘機を運用していたが、ソ連と関係が悪化した65年の「9月30日事件」以降、現在も主力の一翼を担うF16など長らく米国の機体を使用してきた。
クナパ君 それで?
記者 ところが、99年に発生した独立の是非を問う東ティモールの住民投票をめぐる騒乱で国軍が軍事介入したことから、人権侵害を理由に米国はインドネシアへの武器禁輸に踏み切った。こうした経緯からスホイの導入が検討されるようになり、2011年にスホイ27とスホイ30の配備が始まった。一方で米国の禁輸措置は05年に解除され、2017年までに24機のF16が米軍から払い下げられた。
クナパ君 なるほど! これにタイフーンが加われば、インドネシアは米国、ロシア、欧州と3陣営の戦闘機を運用することになるね。
記者 そうなんだ。これは世界的にも珍しい編成じゃないかと思う。整備の都合などもあり難しいと思うが、実現すれば航空ファンから、インドネシア空軍の〝多様性〟に注目が集まるかもしれないね。