ゆっくり語り合える時期 「メラプティ」売る兄弟 17日独立記念日控え
17日の独立記念日に向け、「メラプティ(紅白)」の名称で親しまれるインドネシア国旗が街に少しずつ姿を現し始めている。伝統市場には国旗をかたどったさまざまな飾りを売る露店が姿を現し、商人が家族やなじみの客と再会する時期でもある。
1日、中央ジャカルタ・タナアバン市場の一角にあるビル「ブロックB」近くの歩道脇で旗を売るのはオリチ・キバダウィ(30)さんらと兄のムスリム・ダルヤニさん(35)ら5人組。
オリチさんらは父親の代から40年以上、毎年独立記念日が近づくと同じ場所でメラプティ商品を販売している。普段は西ジャワ州チルボンで果物の輸入業を営む。この時期になると、わざわざ本業を中断し、ジャカルタで旗を売る。ピーク時は1日200万ルピアを売り上げるが、収入は月200万ルピア程度で普段とほとんど変わらない。
国旗を売り続ける理由について、オリチさんは「昔から通うなじみの客に会うことが楽しみだから」と話す。毎年、地方からやってきてこの店でまとめ買いし、地元で売るという商人も多い。常連客が多いため、売上も毎年安定しているという。
オリチさんとムスリムさんはそれぞれ家族を持ち別々に住み、違う仕事をしているが、この期間だけは店で寝泊まりし同じ夜空を見ながら語り合うのが年中行事になっている。「1年に1度、この時期だけゆっくりと話ができる。お互いの生活の話が多いね」とはにかむ。彼らの露店には笑顔が絶えない。 (堀之内健史、写真も)