【じゃらんじゃらん特集】活火山に親しもう ボロブドゥールの帰途に ムラピ山博物館


 ジョクジャカルタから約40キロ北東に位置するムラピ山(2910メートル)。インドネシアで最も活発な火山の一つで、2010年の歴史的な大噴火では200人以上が犠牲になり、40万人近くが避難を余儀なくされた。この「火の山」という意味のムラピ山に関する博物館が山の裾野にあると聞いて、ボロブドゥール遺跡観光の後に立ち寄った。
■迫力ある記録映画
 ムラピ山博物館は2009年、山の南側のバンテン村にオープンした。ピラミッド型の近代的な建物に入ると巨大なムラピ山の模型が来館者を迎える。広大な裾野が広がる雄大かつ美しい姿の火山だ。大きな噴火音とともに火口から煙が立ち昇り、火砕流の流れが赤い照明で示される。
 展示スペースへ進む前に「ムラピの空の下で」という約20分間の英語字幕付きの記録映画を鑑賞した。ムラピにまつわる神話や山がもたらす恵み、これまでの大規模な噴火や日常的にどのような観測が行われているかを説明したものだ。入道雲のように立ち上る噴煙の映像とともに「科学技術の進歩のおかげで、噴火を予測できるようになり、いたずらにムラピを恐れる必要はなくなった」と強調していた。博物館オープンの翌年に大噴火が発生し大きな被害が出たのは皮肉だったが、火砕流に襲われたのは山の反対側で、博物館周辺は灰を10センチ程度被っただけで免れたそうだ。
■テーマ別に分かれた展示
 館内の展示物は、火山の成り立ちと構造、火山と人間の関わり、地震や津波など火山と関係のある自然災害といった、いくつかのテーマに分かれている。理科の授業を思い出す内容もあるが、すぐ後ろに実際の火山がそびえているので、とてもリアルに感じられる。これまでの噴火の被害、例えば火砕流の中から見つかったオートバイや、灰をかぶった台所用品もある。中庭には噴火の被害に遭った地域が再現されていた。
 「ムラピは大きな被害をもたらす一方で、私たちに肥沃な大地、観光地としての魅力など大きな恵みをもたらしてきた。だから時々は噴火するのを許してあげよう」。映画の最後の一言が印象的だった。(北井香織、写真も)
◇ムラピ山博物館 
 開館時間:午前8時半―午後3時半
 料金:入館のみ 3000ルピア。映画鑑賞には別途5000ルピア必要
 休館日:月曜
 電話:0274・869・613(Dinas Pariwisata Sleman)
 住所:Jl. Boyong Sleman Yogyakarta。

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