地酒があるんだって?
クナパくん インドネシアで作られるメジャーなお酒といえば、ビンタンはじめいろいろなビールがあるけれど、他にもあるのかな?
記者 もちろん、インドネシアは広いからね。それぞれの地方に伝統的なお酒があるよ。
クナパくん 何から作られるの?
記者 有名なお酒に、一般にサトウヤシの樹液を発酵させて作る「トゥアック」があり、インドネシア各地にいろんな製法・名前で広まっている。
たとえば南スラウェシ州のトラジャ地方では「バロ」とも呼ばれるトゥアックが、祝いの席などで振る舞われる。北スラウェシ州のミナハサ地方では、ヤシの蒸留酒「チャプ・ティクス」が人々に親しまれているよ。
ヤシ酒は、スマトラ島やマルク諸島やフローレス島、ニューギニア島などの、キリスト教やヒンドゥー教の影響が強い地域を中心に今なお伝統的に飲まれている。このほか、タロイモや米、サトウキビを原料にしたお酒が伝統的に作らているよ。
クナパくん どのくらい昔から飲まれているのかな。
記者 酒造りが伝わった正確な時期は分かっていないけれど、日本醸造協会誌(92巻3号)に掲載された論文「古代ジャワの酒とインド・中国の影響」(松山晃・永ノ尾信悟著)によると、ジャワ島については、史料に糖蜜から作る蒸留酒「シドゥ」の名前が登場するのは10世紀初頭以降で、酒造が始まったのはそれからさらに後のことと推測されている。
クナパくん 外国から製法がもたらされたの?
記者 ヤシから取れる糖蜜やサトウキビなどの糖質原料から作る方法はインドから、もち米などのデンプン質原料を種培養で糖化・発酵させる製法は中国から伝えられたと考えられている。
クナパくん こうしたお酒を手に入れることはできるの?
記者 多くは自家製で、手に入りにくいけれど、バリに工場を持つFAウディヤナ社が製造する「デウィ・スリ」ブランドは手に入れやすいよ。もち米から作る醸造酒「ブルム」と蒸留酒の「アラック」はバリ土産としても人気。同社は、1968年からバリ・ヒンドゥーの祭典や飲用にこれらを製造している。(坂田優菜)