【スナンスナン】料理で学ぶバリ文化 食材次第で豊かな風味
バリ島ウブドのレストランが企画したユニークな料理教室に参加した。朝6時に家を出て向かった先はバリの米蔵として知られるタバナン県の村。自転車で田畑を散策し、バリ・ヒンドゥーの寺に立ち寄った。伝統市場で食材の説明を受けたあと、地元の王族が所有するホテルでハーブや香辛料をたっぷり使った本格的バリ料理を作った。
マウンテンバイクにまたがり、ヤシの木が並ぶ田んぼのあぜ道を走った。いくつもの用水路が流れ、女性たちが洗濯をしていた。水浴びをしている子どもたちもいた。湧き水が流れ込む川の一角には遺灰を流す儀礼が行われる場所も。「バリの人たちがいかに水と付き合い、利用してきたかが分かるでしょう」と、料理教室の講師を務めるウィル・メイリックさんが説明した。ウィルさんはインドネシア料理のオーナーシェフ。バリのほかマレーシア、タイ、ホンコンなどでもレストランを経営している。
見晴らしのいい場所に出た。タバナンに豊かな水をもたらしている山々が遠くに見えた。バイクツアーの最後は伝統市場でウィルさんの説明を聞きながら食材を見て回り「この辺で一番新鮮な食材を使っている」とウィルさんが薦めるワルンで朝食をとった。
料理教室の会場は森や棚田に囲まれたホテル「プリ・タマンサリ」だ。まず、多数のハーブや香辛料を細かく刻んで擦り、基本となる調味料を作る。ショウガ、カオリショウガ、ガランガル、レモングラス、ウコン、トウガラシ……。バリ人スタッフに手伝ってもらい、すり潰してペースト状になったものを火に掛けた。濃厚な香りが湧き上がり、参加者から「おいしそう!」の声が上がった。
作ったのはアヒル肉のサテ、バリ東部のカランアセム風エビ料理、野菜を合えたラワールとサンバル。バリ料理はこれまで何度も食べているし皿に盛られた様子も普通だが、口にするとその豊かな風味に驚く。「料理教室はレストランに食材を提供している農家との協力によるもの。観光地化されていないタバナンの田舎を回って、料理を通してバリ文化に親しむツアーです」とウィルさん。
参加費はウブドやスミニャック方面からの送迎込みで1人150万ルピア。(北井香織、写真も)
◇HUJAN COOKING CLASS
(主催レストランはHUJAN LOCALE)
住所 Jl. Sri Wedari No.5, Ubud, Bali
☎ 0813・3972・0306
ウェブ www.hujancookingclass.com