【投資特集】 「顧客の悩み」原点 フォーバル現法の加納社長 レンタル工場の誘致開始
「海外展開は日本の中小企業を強くする」―情報通信コンサルティング会社「フォーバル」の現地法人フォーバル・インドネシア社の加納敏行社長(49)は力を込める。
同社は昨年10月に開設。1年後の今年10月、西ジャワ州ブカシ県のデルタ・シリコン工業団地で不動産開発大手「リッポー・チカラン」と共同開発を進めている日本企業向けのレンタル工場を開く。現地にジャパンデスクを開設し、日本の中小企業の誘致を目指す。
フォーバルの海外展開はカンボジアとベトナムに次いで3カ国目。海外での挑戦を覚悟して日本を飛び出した企業がグループ全体として業績を伸ばしているという統計データを知り、「海外で難題にぶつかり、知恵を絞ることで人材が育つ。考えが広がる」と加納社長は語る。
情報通信分野でのコンサルが主要業務とも言えるフォーバル社。しかし、レンタル工場への誘致に踏み込んだ理由を、「新しいあたりまえを創造し続ける」という企業理念の根底にある「顧客の困っている部分に着目することが原点」と説明する。レンタル工場を有する各工業団地は多いが、中小企業はより細かな区分けを求めていることに目を付けた。
工業団地の土地は売り手市場が続く中、多くが1,000平米以上と大きい規模。同社のレンタル工場では、各賃貸面積を288―720平米に抑えた。
本社は日本全国に拠点を持つ。国内市場の苦しい現状に悩む中小企業の社長から日本各地の担当者が相談を受ける。「海外を考えているのだけれど、どうしたらいいのか‥」。その声を受け止め、海外展開を総合的に支援する考えだ。(岡坂泰寛、写真も)