【スナンスナン】アートとホテルが合体 バリ島サヌールに「アートテル」
歴史のある落ち着いたビーチリゾートとして知られるバリ島サヌールに、斬新なデザインのホテル「アートテル」がこのほとオープンした。アートとホテルを組み合わせた名前が示すとおり、玄関には赤いオブジェが置かれ、ロビーは美術品の展示会場になっている。
ジャカルタとスラバヤに次ぐ全国で3軒目のアートテルだが、サヌールでは、毎年盛大に行われるたこ揚げ大会にちなんでひし形のモチーフを壁、天井、床に生かした。最上階まで吹き抜けになっているロビーでは大掛かりなモビールと地元アーティストの作品が客を迎える。ビーチフロントではないが、屋上のプールから赤い屋根瓦と緑の向こうに青い海が見渡せる。
クタがサンセットで有名なら、サヌールは日が昇る海岸だ。朝、まだ暗いうちにホテルの自転車に乗って出かけた。マングローブの横を通り抜けて海岸沿いの遊歩道に入り、日の出を待った。白みかけた空をプロペラ付きのエンジンを背負ったパラグライダーが飛んでいた。空軍の飛行訓練だそうだ。
昼間はホテル周辺を散策した。徒歩5分の「ルマ・サヌール」はカフェ、ブティック、イベント会場、ワークスペースのある複合施設。地元の若手アートティストらが交流を深めたり、ワークショップなどを通じて自身の活動を紹介する場所でもある。レトロなデザイン、オープンエアの建物で、コーヒー一杯でいつまでもいられそうだ。コーヒーはバリ、パプア、フローレスなど、インドネシアの各地のものが飲める。
古いホテルが多く、年配の観光客が多いことでも知られるサヌールで、アートテルは場違いな気がしないでもない。総支配人のゴヤ・マフムッドさんは「最初はそういう懸念もあった。しかし地域の結束が固く、文化を守ろうという意識が高いサヌールで、地元のアーティストと協力したり、地域振興イベントに積極的に参加したりして、土地の文化を取り入れている」と話した。
場所はサヌールの中心を走るダナウ・タンブリンガン通りから細い道をビーチ側に入ったところにある。ビーチまでは約200メートル。客室は89あり、広さは39〜55平方メートルとゆったりとしている。(北井香織、写真も)
SANUR
住所 Jl. Kusuma Sari No.1, Sanur, Bali
☎ 0361・4721000
ウェブ www.artotelindonesia.com