【モーターショー特集】 発想の転換でエコ製品 「長く使って環境貢献を」 ダンロップが新興国向けタイヤ
低環境負荷は近年の自動車に求められる性能の一つで、各社がアイデアや技術を注いだエコ製品が展示されている。タイヤも同様で、ダンロップのタイヤを製造販売するスミラバー・インドネシア社は、転がり抵抗の低減に重きを置く先進国向けタイヤ開発とは発想を180度転換し、丈夫で長持ちさせることで環境に寄与しようという、新興国向け長寿命タイヤを開発した。
先進国市場でメーカー各社は、燃費向上に寄与する転がり抵抗の低減技術を競っている。しかし、路面状況が良いとは言えない新興国では事情が異なる。
転がり抵抗の小ささは、車速が一定のとき、燃費向上に与える影響が最大になる。ジャカルタなど新興国の大都市では、交通インフラ開発の遅れなどを背景に、発進加速や減速を繰り返す渋滞が状態化。燃費が悪化する典型的な状況下では、タイヤが貢献できる割合より、エンジン自体の低燃費性能に頼る部分が大きくなるうえ、タイヤの摩耗も進行する。
ダンロップはこの道路環境の違いに着目。転がり抵抗よりも耐久性に比重を移した開発を進め、2割近く耐久性を向上させた。サイドウォールのゴムを分厚くするなどして、耐パンク性能を高めた点でも、軽量化で低燃費、乗り心地の向上を図ろうとする先進国向けタイヤとは異なる。
同様の考え方で、タイや中国でも現地専用タイヤを製造販売する動きを進めている。
近年急激に伸びるインドネシアの自動車需要について、スミラバー・インドネシア社の河瀬二朗営業部長は「やっと車を持てた、という層が多い」と分析。こうした層では、「ロングライフで環境に貢献できる」とうたった方が訴求力があると判断し、新製品を開発したという。
同社はすでにインドネシア工場で一部モデルを生産。7月から6サイズを試験的に販売。11月から12サイズを本格販売する。