【モーターショー特集】 各社がしのぎ削る(2)

◇新型CRZを世界初披露    −ホンダ

 ホンダの現地法人ホンダ・プロスペクト・モーター(HPM)社は20日の記者会見で、ハイブリッドスポーツのCRZのマイナーチェンジを世界に先駆け発表した。環境に配慮しながらも高い機動力を持つ同モデルを出品車種の中核に据え、「走り」と「先進性」をアピールした。
 マイナーチェンジでは、電池をニッケル水素からリチウムイオンに変更、モーター出力を10キロワットから15キロワットに高めるなど、心臓部にも変更を施す「ビッグマイナーチェンジ」という位置付け。出力を高めながらも燃費を向上させ、環境性能との両立もアピールした。
 今モーターショーから注文を受け付け、来年2月以降の納車になる。価格は6速マニュアルが4億7500万ルピア(約389万円)、CVTが4億8900万ルピア(約400万円)。先代も含め、インドネシアでのCRZ販売は初めて。日本国内では月末に発表する。
 旧モデルでは「スポーツ」「ノーマル」「ECON」の3種類だったドライブモードに加え、「スポーツプラス」を新設。アクセルを踏み込めばモーターが全出力になり、変速機も低速ギアに落ちる。開発責任者で、会見に出席したホンダ四輪R&Dセンターの友部了夫主任研究員によると、「びっくりするような加速」を得られるという。
 HPM社の内田知樹社長は「環境性能だけでなく、ホンダのDNAは『スポーツ』と『先進性』だ」として、今モーターショーで発表する意義を強調した。
 「走り」をアピールするために、会場にはホンダのアフターパーツ製造販売やレース車両の開発を手がける「無限」がチューニングを施したコンプリートカーも展示。エンジンにスーパーチャージャーを搭載して馬力を高め、専用のブレーキやタイヤ、サスペンション、カーボン製スポイラーなどを搭載する挑発的な容姿が自動車ファンの注目を集めていた。

◇リーフをイ初公開−日産
 日産は、電気自動車(CV)の「リーフ」をインドネシアで初公開し、環境への配慮や技術力の高さをアピールした。記者会見でリーフに乗って報道陣の前に現れた日産モーター・インドネシア(NMI)社の泉田金太郎社長は、インドネシアでの販売開始については未定としながらも、インフラ整備や政府による補助金政策の実施状況などの動向を注視し、長期戦略としての将来の販売開始に意欲も示した。
 リーフは大人5人乗り。フル充電で160キロ以上を走行できる。最高時速は140キロ。日本と米国では2010年に発売が開始された。
 ブースでのメイン展示と位置付けたのが3列シート7人乗りMPV(多目的車)の世界戦略車「エヴァリア」。多人数で乗る需要が高いインドネシア向けの開発を行ったもので、今年6月にスペインと中国に次ぐ3カ国目として発売を開始した。エヴァリアは発売から3カ月間で販売台数が6千台に上った。
 メイン展示のもう1車種は「グランド・リヴィナ」。現在は、エヴァリアとの2車種で月約5千台を販売しており、MPVの主力車種として販売拡大を目指す。
 高級MPVのエルグランドや小型スポーツ多目的車(SUV)の「ジューク」、高級ブランドの「インフィニティ」、「GT―R」などを合わせ、12車種16台のラインナップで展示。商談スペースなどを設け、ブース面積は昨年より多い1570平方メートルとなった。
 泉田社長はインドネシアの自動車市場について、今後も販売台数の増加が続き、2015年には新車販売台数が150万台に届く可能性があると指摘した。

◇CNG仕様車展示−いすゞ
 いすゞアストラ・モーター・インドネシア(IAMI)社は屋外スペースを中心に実車を展示した。世界戦略車の「GIGA(ギガ)」やエルフ、乗用車のパンサー、ピックアップトラックのD−MAXの、計4車種10車型を紹介。なかでも、ブース中心部にはエルフの圧縮天然ガス(CNG)仕様車を鎮座させ、存在感を放った。
 CNGはディーゼル燃料より有害物質の排出が少ない。中東などに資源が偏在する石油から天然ガスに転換させる動きが世界各国で高まっている中、インドネシア政府も例にもれず、CNGの利用を奨励。まだごく少数ではあるが、ジャカルタ特別州内にはCNGスタンドも現れつつある。
 インドネシアでのCNG仕様車の一般販売の予定は当面ないものの、行政サイドの動きも踏まえ、IAMI社の石川哲朗社長は「(CNGスタンドなど)インフラが普及すればすぐにでも導入できるということを示した。商業車メーカーとして、インドネシアの発展、経済成長に寄与したい」と話した。
 また、同社はIIMS期間中に、運行管理システム「ミマモリ」を発表する。
 同システムは日本ですでに導入されている「みまもりくん」のインドネシア版で、車載機や電話回線を利用してデータを収集・通信。荷主や運送会社は運転操作やエンジンなど車両の情報、走行ルートを把握できるため、事業効率の向上に役立つという。
 国内の堅調な経済に支えられた建設業、豊富な天然資源を生かした活発な鉱山開発に伴う運送車両の需要増を見込むほか、拡大する消費に合わせ物流業もますます発達すると予想。「ミマモリ」の周辺機器やサービスなども武器にして、シェア拡大を進める方針だ。

◇ハイブリッドバス展示−日野

 日野自動車は、今回のメイン車種として日本で唯一のハイブリッド大型バス「セレガ・ハイブリッド・プレミアム」を展示し、環境に最大限配慮した自社の開発システムを売り込んだ。車両は日本から持ち込んだ。
 軽量で高トルクが特徴のディーゼルエンジン「A09C」と排出ガス浄化技術である尿素SCR(選択触媒還元)システムを組み合わせ、窒素酸化物や粒子状物質の排出量を大幅に低減。安全性能では、走行状態を検知することで衝突被害を軽減するブレーキシステムを進化させた。
 記者会見では、集まった報道陣が実際にバスの車内に乗り込んで取材。すべての席に液晶ディスプレイが設置されており、化粧室の快適性も大幅に向上された。
 現地販売法人の日野モータース・セールス・インドネシア(HMSI)社によると、インドネシアでは販売を行わない見通しだが、環境対応をアピールする意向だ。
 もう一つのメイン車種として展示したのが、圧縮天然ガス(CNG)トラック「FM2P NGV」。欧州の排ガス規制「ユーロ3」に適応した車両で、タイ工場で生産している。
 HMSI社は今年で設立30周年。2011年は2万5千台を販売し、今年の販売目標は3万5千台を掲げている。8月時点で、販売台数は目標を上回るペース。
 同社のイルワン・スタント営業取締役は、販売拠点を今後増やしていくことを明らかにし、「品質の高さが日野の価値。消費者のニーズをとらえて販売戦略を立てていく」と語った。

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