【モーターショー特集】 各社がしのぎ削る(1)

◇ラインアップ充実−トヨタ

  トヨタ自動車の現地製造法人、トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・インドネシア(TMMIN)社と現地販売法人、トヨタ・アストラ・モーター (TAM)社は、「グッドネス・フォー・トゥモロー」をテーマに、第20回インドネシア国際モーターショー(IIMS)に合わせて発表したコンパクトカーの「アギア」を中心に計30台を展示した。
 IIMS全体の「環境」というテーマに沿って、プリウスのプラグイン・ハイブリッドなども展示。人との共生を目指してトヨタが開発を進めるパートナーロボットのRobina(ロビーナ)とヒューマノイドも登場し、楽器を演奏するなどして会場を盛り上げる。
 MPV(多目的車)のアバンザ・ヴェロスやキジャン・イノーバ、SUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)のフォーチュナー、カムリといった主力車種に加え、新投入を決めたFJクルーザーや86、ランドクルーザーなどもそろえた。ヤリスにピカチューをペインティングしたモデルなどもあり、キッズ・コーナーにあるレーシングゲームなどと合わせ、子どもも楽しむことができるようになっている。
 ジョニー・ダルマワンTAM社社長は「IIMSのテーマであるエコ・モビリティーにも沿った、環境にやさしい車として一つの形に具現化されたのがアギア。また、国内の潮流に合わせたモデルだけでなく、インドネシアでも高位の中間層が拡大していることもあり、世界のトレンドに沿ったモデルを展示した。今回はトヨタが持つ車種の中でもかなり広いラインアップが提示できたと思っている」と話した。

◇「アイラ」に注力−ダイハツ
 アストラ・ダイハツ・モーター(ADM)社は、販売予定の小型車「アイラ」を展示した。インドネシア市場向けに開発し、排気量1000ccで5人乗り。「光」や「希望」を意味するアイラ。インドネシア人のデザインによる同車種を5台並べ、力を入れてアピールしている。ADM社のチームが中心になって開発した。
 LCGCプログラムの適用を見込み、環境対応車であることを前面に押し出す。ADM社にとって最安価格の車種になるとみられ、初めて自動車を購入する層の市場開拓を狙う。 
 IIMSに合わせ、ジャカルタを訪問したダイハツ本社の伊奈功一社長は、アイラについて「最新の技術を用い、高い燃費、手ごろな価格、環境に優しい車」と語った。
 コンセプトカー4車種も展示している。「UFC(ウルトラ・ファンクショナル・コンパクト)」は、インドネシアの若手エンジニアがデザイン、ADM社が主体となって開発。世界初公開となった。全長4050ミリメートル、車幅1695ミリメートル、車高1585ミリメートルと、コンパクトなサイズの車体で、広い室内空間を実現。前後に自動スライドする座席などの機能を満載し、利便性を実現した。
 コンセプトカー「D−X」「D−R」は、ボディ・パネルを載せ替えることで、多様なバリエーションに変えられる車種。
 同じくコンセプトカー「FC商ケース」は、環境にやさしい小型液体燃料電池(FC)を搭載。座席、ハンドルなどを格納し、車内を平面のフロアにすることで、さまざまな用途に使用できる。
 会場では、セニアやテリオス、グランマックス、シリオンなどの車種を計15台展示している。

◇ミラージュ前面に−三菱自

 三菱ブランドの自動車を販売するクラマ・ユダ・ティガ・ベルリアン・モーター(KTB)社は、IIMS直前に報道陣向けに公開したコンパクトカーの「ミラージュ」を正式発表、三菱自動車の益子修社長も来イし、インドネシア市場の拡大に大きな期待を示した。初日の20日には展示車13台全車をミラージュにするなど、乗用車部門のボリュームゾーンの開拓に本腰を入れて取り組んでいく姿勢をうかがわせた。
 翌日以降は、一部をアウトランダー・スポーツやパジェロ・スポーツに入れ替え、これまでイメージが強かった商用車部門に加え、乗用車部門への一層の浸透を図る構えだ。
 記者発表であいさつした辻昇社長は「環境や燃料価格値上げへの意識が高まるインドネシアの自動車市場で、著しい成長を遂げるシティーカーの需要増へのKTB社としての答えがこのコンパクトカー」とミラージュ投入にかける意味込みを表明。
 「三菱自動車は真のラリーで培ったSUVのDNAを伴ったパジェロ・スポーツや適切なサイズのアウトランダー・スポーツなど、市場をけん引するブランド力の強い車を有している。7月のアウトランダー・スポーツ、今回のミラージュ発表に続き、今後も継続的にインドネシア市場に乗用車の新モデルを投入していく」との方針を示した。

◇新型スイフトを投入−スズキ

 スズキ・インドモービル・セールス(SIS)社はコンパクトカー「スイフト」のフルモデルチェンジを発表した。スポーティーな乗り味が売りで、消費者の選択肢を増やしたとしている。
 エンジンは3列シート7人乗りの小型MPV(多目的車)の新興国向け世界戦略車で、4月に投入した「エルティガ」と共通。先代スイフトの1.5リットルからサイズダウンする1.4リットルながら、最大出力は95馬力、トルクは130ニュートンメートルを発生する。
 グレードはGLとGXの2種類を設定し、変速機はそれぞれ5速マニュアルと4速オートマチックが選べる。価格帯は1億6310万−1億8060万ルピア(約133万−約147万円)。ボディーカラーは7色を用意した。
 インドネシアの拠点で生産するエルティガと異なり、スズキが初めてタイに設けた四輪車工場で生産し、完成車輸入する。月500台の販売を目指す。
 同社によると、各メーカーがインドネシア市場で車種を増やしていく中、消費者の選択肢を増やすのが投入の狙いという。板山誠次取締役は「潜在的にスポーティーなハッチバックの需要はある」と話し、自信を見せた。
 エルティガも展示で存在感を発揮。インドネシア市場のボリュームゾーンで、競合車種がひしめく小型MPVセグメントでの浸透を図っている。
 このほかIIMSでは、一時はインドネシアで生産していたが現在は休止しているSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)の「グランド・ビターラ」(2.4リットルエンジン)を日本から完成車輸入して販売することも発表した。

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