青の世界 絶景のビーチ タンジュンアン 西ヌサトゥンガラ州ロンボク島
水平に伸びる青い直線。目に入ってきた瞬間、あまりの青さに鳥肌がたった。太陽が雲で隠れると濃い青や緑に、光が射すと浅瀬は水色に、深淵は深い青色に輝く。目を見張るような景色が広がるのは、西ヌサトゥンガラ州ロンボク島の南に位置するビーチ「タンジュン・アアン」。海も空も青、青、青――。
ロンボク島といえば、トラワンガンとメノ、アイルの三つの島から成るギリ・トラワンガンが有名。一方、タンジュン・アアン・ビーチはロンボク国際空港から車で約40分の、島の南側に位置する海岸だ。
タンジュン・アアン・ビーチでは人はまばらで、まるでプライベートビーチにいるかのよう。白い砂浜に並ぶかやぶき屋根のパラソルの下に寝そべるもよし。真っ青な海で自由に泳ぐもよし。小舟も出ており、反対側に見えるビーチへ移動することもできる。歩いて登ることができる小高い丘からは辺り一面が見渡せ、空と海が作り出す青色の絶景が広がる。浅瀬に浮かぶブランコは、人気の撮影スポットだ。
■白コショウ? 丸い砂
砂浜ではよく足を取られた。しゃがみこんで砂を見ると丸い形のものがたくさん。これもタンジュンアンビーチの特徴の一つで、地元では、白コショウを意味する「ムリチャ」と砂を意味するパシルを合わせ「ムリチャ・パシル」と呼ばれている。
暑さに疲れたら、日本の海の家さながらの「ワルン・タートル」へ。オーナーのヘルマンさん(30)が7年前から始めた店で、インドネシア料理はもちろん、冷えたビンタンビールも用意されている。ヘルマンさんは「人が少なくとにかく美しい場所。私は毎日、ストレスを感じる事なんてない。みんなここで暮らせばいいのに」とにっこり笑う。
■ササックの文化
海だけでなく、ロンボク島特有の伝統文化にも触れることができる。同島南部にある原住民ササック人が暮らす「サデ村」。同地は観光地化が進んでおり、ココナツの葉やアシなどを使った屋根や、竹を編んだ壁などから作られた伝統家屋や高床式の倉庫の間を通りながら、村を見て回ることができる。
住民のほとんどが農業や機織りで生計をたてており、あちこちで女性が布を織る姿を見られる。色鮮やかな「サブック・アントゥン」を手織りしていたのはイナク・ナヤンさん(48)。1週間かけ、幅30センチ、長さ2メートルの布を織りあげるという。イナクさんは「5歳ごろから習い始めて、女性は全員織物ができるようになるのよ」と話す。他にもササック族人有のモチーフをあしらったバティックやミサンガ、木彫りの置き物などが販売されており、手土産にぴったり。値引き交渉するのが通例で、あちこちで旅行客と住民が値段の交渉をしていた。
サデ村は空港から車で20分ほどの場所にあるため、タンジュン・アアン・ビーチに行くついでに立ち寄るのもおすすめだ。同島南部にあるクタビーチ周辺での移動手段はオートバイが主流で、貸出してくれるホテルやヴィラがほどんど。水田や木に囲まれた一本道や、海沿いを走ると、それだけで気持ちがいい。
お腹が空いたらラヤ・クタ通りやパリウィサタ・パンタイ・クタ通りへ。おしゃれなレストランやカフェがあるので、食事に困ることもない。夜は天の川が肉眼で見えるほどの、満天の星空を眺めながら1日の疲れを癒やして。(毛利春香、写真も)