【スナンスナン】渓谷のリゾート バリ・ウブドの老舗 クプクプバロン
新規オープンの高級ホテルが何かと話題になっているバリ島ウブドで、今から29年前、渓谷を望む高台のレストランと6棟のビラからスタートした「クプクプバロン」に泊まった。バリらしい落ち着いた雰囲気の部屋、アユン川が流れる渓谷とせせらぎ……。観光バスが乗り入れる前の、一昔前のウブドに戻ったような静かな時間を過ごした。
「クプクプバロンの一番の魅力は何と言っても素晴らしい渓谷の眺め。部屋、レセプション、レストラン、バーと、どこからでも楽しめるのが強みです」と総支配人のアレックス・カスタルディさんは話す。アユン川沿いに一番乗りしたホテルの一つだからこそだろう。全部で38の部屋は窓を大きく取ったビラタイプで、広い板張りのテラスが付いている。せせらぎをバックにうとうとしていると、谷底からラフティングを楽しむ人たちの歓声が聞こえてきた。
クプクプのもう一つの大きな魅力は、フランスの自然派化粧品、ロクシタンの製品を使用した「マンゴーツリー・スパ」。マンゴーの木を支柱の一つにして作った小屋で絶景を前にしたトリートメントが受けられる。セラピストの技術はロクシタンの基準を満たしているという。
日本人スタッフがおり、ウブドのホテルとしては珍しく和食レストランを備えている。日本人客からは、建物、内装、スタッフなどのすべてにバリらしさを感じるとの感想が寄せられ、リピーターが多いことも特徴だそうだ。
ちなみにクプクプバロンとは日本ではヨナグニサンの名前で知られる世界最大のガのこと。羽の模様がバリ・ヒンドゥーの聖獣バロンを連想させることからこの名前がついた。かつては周辺の森に頻繁に見られたが、幼虫が鳥の餌として重宝されることや開発のせいで今ではまれになったという。ホテルに着いたらレセプションの壁を飾る標本に注目しよう。(北井香織、写真も)
◇KUPU KUPU BARONG
住所 Jl. Kedewatan, Ubud, Bali
☎ 0361・975478
ウェブ www.kupubarongubud.com