【スナンスナン】トレッキングも兼ねて バリ・バトゥール 世界ジオパーク博物館
バリ島バンリ県のバトゥール山周辺は、巨大なカルデラ、湖、溶岩、温泉などさまざまな興味深い自然の姿を観察、体験できる場所として国連教育科学文化機関(ユネスコ)から世界ジオパーク(自然公園)に認定されている。4月1日、以前からここにあったバトゥール火山博物館を増築し、展示物を追加したバトゥール世界ジオパーク博物館が新たにオープンした。
博物館は、バトゥール山(標高1717メートル)とカルデラ湖、東のアバン山が織り成す大パノラマを望む外輪山の上、ペネロカンにある。中に入るとパーク全体を示した巨大なジオラマがあり、バトゥール山を中心とした地形や位置関係が分かる。続く展示はこれまでの噴火による地形の変化をインドネシア語と英語で詳しく説明したもの。溶岩のサンプルも多数あり、かなり専門的だ。バトゥール山にはこれまで2回登ったことがあるが、このような噴火の歴史を経て今の形になっているとは知らなかった。バトゥール山は活火山で、博物館の展望台から白い煙が上っているのが観測できる。
展示は周辺地域の動植物や古代バリの人々の暮らしや文化にも及び、この地域が地質学的だけでなく、宗教的にも意味深い場所であることがうかがえる。トレッキングを考えている人は事前に博物館に立ち寄ることをお勧めする。入館は無料。
博物館を出て、カルデラの中へ下りることにした。途中、砂や岩を積んだトラックと何度もすれ違った。トラックは毎日24時間、カルデラとデンパサールなどの建材店の間を往復している。博物館スタッフにそのことを尋ねると「規制はしているのだけど、まだ続いていて……」と歯切れが悪い。
曲がりくねった道路の突き当たりを右に行くと湖畔のクディサン村がある。湖からバトゥール山を眺めるならここ。左に行くと、黒く固まった溶岩が不思議な光景を作っている台地に出る。雑草がへばりつくように生えているが、所々に高い木も立っている。地元高校生や在日邦人のボランティア・グループらが行っている植林活動で育った木々だ。ここを通り過ぎると温泉地のトヤブンカに着く。トレッキングの後に湖を眺めながら一風呂いかが。(北井香織、写真も)
◇世界ジオパーク 世界的に貴重な地形・火山などを抱える自然公園。世界遺産の地質版とも言われている。2001年から始まり、15年11月からユネスコの正式事業となった。
◇BATUR GLOBAL GEOPARK MUSEUM
住所 Penelokan, Kintamani, Bangli, Bali
☎ 0366.51152 0366.91537
ウェブ www.baturglobalgeopark.com