イのバンドにCDジャケ 川越市のイラストレーター ネットで交流 「ゾンビで熱く」

 埼玉県川越市生まれの日本人イラストレーター、ヌクイ・ボガードさん=ペンネーム=(32)が、3月に発売されたインドネシアの4人組パンクバンド「ピー・ウィー・ガスキンス(PWG)」のアルバム「ア・ユース・ノット・ウェイステッド」のCDジャケットデザインを担当した。ネットでの視聴をきっかけに交流が始まり、提供したイラストは、PWGの演奏に体を揺らす無数の緑色のゾンビたち。海外に多くの作品を提供しているヌクイさんは「観客の熱量を表現した」と熱く語る。
 ヌクイさんはグラフィックデザイナーとして働く傍ら、日本のインディーズバンドのポスターやCDジャケット、Tシャツなどをデザインしてきた。
 2012年に開催された米ヘヴィーメタルバンド・スリップノットのポスターコンテストで、フェイスブックの同バンド公式ページに作品が取り上げられたことをきっかけに、13年からイラストレーターとして本格始動。これまでに米パンクロックバンドMXPXやファッションブランド・ビリオネア・ボーイズ・クラブなど欧米を中心に海外からのデザイン依頼を請け負っている。
 メールでの地道な営業活動も実を結び、07年から活動しているPWGへのイラスト提供へとつながった。ヌクイさんの地元の電子メディア「川越経済新聞」にも紹介された。
 「現在もやりとりは、メールや無料通信アプリ・ラインです」。ヌクイさんはPWGと実際に会ったことは一度もない。3年前に初めて聴いたPWGの楽曲の良さに感動。すぐさまメールを送り、マネジャーを通してPWGのリーダーを務めるドチさんへとつながった。
 CDジャケットは三つ折りになっており、中面にはPWGメンバーのイラスト。顔の特徴を強調したクスッと笑わせる似顔絵が得意だという。
 ジャケットの背面にはスマートフォンでセルフィー(自撮り)する男女のゾンビ。「楽しそうな観客の姿を彼らのライブ写真で見た。これまで自身の作品にゾンビを使うことが多く、デザインに取り入れた。人生で一番ゾンビを描いた」
 今後も日本を拠点に海外からの依頼にも応えていく。いろいろな描き方で表現できるヌクイさんは、イラストを描く際にメッセージを込めない。「無意味が理想。見た人がその意味を決める。意味が無いことを追求したい」と語った。
 中央ジャカルタ・サバン通りのレコードCD店に14年間勤務するムゲニさん(35)は「インドネシアのCDジャケットは写真が多く、イラストだけというのは珍しい。初めて見た人にも手にとってもらえるよ」と好印象だった。(中島昭浩、写真も)

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