都市建築家が新社長に コタトゥア開発連合 前任が州と方針対立
西ジャカルタのコタトゥア地区の再開発を進めているコンソーシアム(企業連合)「ジャカルタ・コタトゥア開発」(PKTJ)のリン・チェ・ウェイ社長はこのほど辞任し、後任に建築家のブディ・リム氏が就任した。リン氏はジャカルタ特別州と開発方針について意見が合わなかった。
州政府はオランダ統治時代の建造物が立ち並ぶ同地区を、国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界文化遺産暫定リストに登録するため、迅速に改修・復元するようPKTJに要求。しかし州によると、85軒ある歴史的建造物のうち18軒の改修が終了せず、外壁のペンキ塗り作業が続くなど進捗状況が悪かった。
辞任したリン氏は「再開発は簡単にできるものではない。改修・復元には建物の歴史や構造を学ぶことが必要。外観だけでなく内装の復元のために時間がかかることを州政府は分かっていない」と批判している。 世界文化遺産の暫定リスト登録に向け作業迅速化を強く望むアホック知事は、「コタトゥアを魅力ある観光地へとデザインできる」と建築ブディ・リム・アーキテクツ社長で著名な都市建築家ブディ・リム氏を事実上、新社長に推した。
ブディ氏は2001年に、西ジャカルタのガジャマダ通りにある国立公文書館の改築デザインが高く評価され、ユネスコから賞を受けた。ブディ氏は同地区で未改修の歴史的建造物を進めるとともに、公園の緑地化、東西にある河川沿い道路での時間別交通規制など七つの方策を計画し「人々が集える空間づくりを目指す」と意気込む。(山本康行、写真も)