【スナンスナン】ウブドで「ホームステイ」 のんびり過ごす1日
バリ島ウブドの中心地、入り口に仏像のあるゴータマ通りには在住外国人経営のカフェやブティックに混じって「HOME STAY」の看板を掲げた安宿がいくつもある。緑の渓谷を見下ろす高級ホテルもいいが、買い物や芸能鑑賞に歩いて行ける民宿に泊まって、ウブドをじっくり楽しむ1日があってもいい。
日曜日の朝7時、野鳥のさえずりと共に台所から野菜を刻む音が聞こえてきた。「お客さんがいるからそっちへ行っちゃだめ」と宿のオーナーのマデさんが孫の男の子に言った。若い母親は朝の祈りに使う供物作りに忙しい。しばらくしてマデさんと先の男の子、小学1年生のワヤン君が朝食を運んできた。ワヤン君は泊り客のいることがとてもうれしそうだ。3世代が住む典型的なバリの家の敷地内に客室を建てたホームステイ。今回、友人がバリに遊びに来たことをきっかけに十数年ぶりに泊まることにした。
ホームステイはもちろんゴータマ通り以外にもある。でも私は400メートルほどの、この狭い通りが好きだ。宿は端から順番に1軒1軒訪ねて部屋を見せてもらった。まずは、画材や何枚もの油絵が置かれた広いアトリエにベッドを置いた部屋。次は、手入れの行き届いた中庭にバリ独特の装飾を施した扉のある部屋、そのすぐお隣りは3階建ての、エアコン、バスタブ付きの真新しい部屋だ。価格は1部屋朝食付きで10万から35万ルピア。どこでも少なくとも扇風機、朝食、温水シャワー、公衆無線LAN「Wi―Fi(ワイファイ)」が付いていた。
「この辺りにホームステイができたのは20〜30年前。皆、自分の家だから、余裕が出たら増築したり改装したりして客を待つの。うちは2階建てにしている最中だけど、お金がなくなったので工事は一休み。完成はいつになるか分からないけど、また泊まりに来てね」とマデさんが笑顔で話した。のんびりとした口調にこちらも和む。
ワルンでバリ料理の昼食を取ってから歩いていると「タクシーいりませんか?」と日本語で話しかけられた。フリーで運転手兼ガイドをしているワヤンさんは、最近はバスでやってくる中国人団体客が増える一方で、個人旅行の日本人は少なくなったと残念そうに話した。「こうした場所に泊まって、買い物をすれば確実にバリの人たちにお金が入る。団体客だとそうは行かないから」。
荷物を運ぶのが苦にならなければ、気に入った部屋が見つかるまでゆっくり探そう。せっけん、タオルなどは置いていない宿が多いので持参のこと。(北井香織、写真も)
◇Home Stay
住所 Jl. Goutama Selatan, Ubud, Gianyar, Bali