全国でほぼ平穏に 2000万人がクリスマス祝う
全人口の約九%を占めるインドネシアの二千万人超のキリスト教徒は二十四、二十五日、全国各地にある教会で礼拝を行い、イエス・キリストの降誕の日に当たるクリスマスを祝った。近年、宗教をめぐる対立が一部地域で顕在化し、爆弾テロの懸念も上がる中、全国で数万人の警察官が厳重警備に当たり、国内のほとんどの地域で礼拝が混乱なく行われた。一方、西ジャワ州ボゴール市のヤスミン教会では礼拝が認められず、個人宅で祝うにとどまった。
全国の教会では、厳粛な雰囲気の中、キリスト教徒が燭台に火を灯し、礼拝を行った。ジョクジャカルタのハティ・クドゥス・プゲラン教会では、子どもたちがサンタクロースの帽子を被って礼拝に参加した。
ムラピ火山国立公園に近い中部ジャワ州マゲラン県ドゥクン郡のパロキ・サンタ・マリア・ルデス教会のキリスト教徒は、山の斜面でミサを行った。儀式には、信者である農民が普段から農作業で使っているわき水を利用。小雨が降る中、信者たちは傘を指し、ジャワ語で執り行った。
キリスト教徒の比率が高い北スラウェシ州では、二十二日にマナドやビトゥンの教会を標的とした爆弾テロの予告があったこともあり、警官七百人と自警団三千人が警備に当たった。
クリスマスを祝福し、首都圏の各ショッピングモールはクリスマスイベントやクリスマスツリーの飾り付けを行った。地元紙によると、西ジャカルタのモール・タマン・アングレックでは二十四日午後四時ごろ、電飾のショートで一階のクリスマスツリーが燃えた。けが人はなかった。
■礼拝にサンタの姿も
二十五日昼、中央ジャカルタにあるカテドラル(大聖堂)で行われた礼拝には約三千人が訪れた。堂内では約千人が祈りをささげ、入りきらない信者は、外の広場に設置されたテレビ画面に映し出される堂内の様子を見ながら礼拝に参加していた。
礼拝の途中で赤い服を着て、白い髭をたくわえたサンタクロースが登場した。子どもたちはいすから立ち上がり、突如現れたサンタを見つめた。サンタは子どもたちとクリスマスの歌を歌い、寸劇を見せた後で「お父さんとお母さんに迷惑をかけないよう、ちゃんと良い子にしてるんだよ」と言って去って行った。礼拝は終始穏やかな雰囲気で行われた。
ボランティアとして、礼拝の運営を手伝っていたヘンドリーさん(二一)は「国内にはムスリムとキリスト教徒の間で様々な問題があるが、クリスマスなどの時には隣のイスティクラル・モスクから協力を受けるし、イドゥル・フィトリ(断食明け大祭)などのムスリムの行事の時には、われわれも彼らに協力する。ここではお互い良い関係を築けている」と話した。