原稔医師、おつかれさま 5年4カ月は最長記録 医療相談室休診
ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)の医療相談室は1990年に設置されて今年で25年目。原医師の勤務期間、5年4カ月は過去勤務した10人の医師のなかで最長記録となった。この間、クニンガンにあった医療相談室の引っ越しも経験した。JJCや医療相談室の関係者は「おつかれさまでした」と労をねぎらっている。
帰国を前に原稔医師に話を聞いた。
ジャカルタの邦人医療の特徴について「ここは例えて言えば、住民1万人余りの僻地医療です。今でこそ日系の診療所がいくつかできましたが、言葉の問題もあるので、やはり僻地だと思います」と話した。治療態勢が十分ではないから、健康への留意が特に必要ということだろう。
医療相談室は月曜から土曜まで開き(水、土は半日)、1日10人から15人の患者が受診する。患者の特徴は「風邪と下痢が多いことで、初診者が多くなり、高血圧など慢性疾患は少ないです」。
風邪の原因は冷房の効き過ぎやストレス、下痢はジャカルタの衛生状態が悪いことにつきると指摘。屋台では食べないなど、改めて生活上の注意を説いた。
病気予防で在留邦人に改めてアドバイスを求めると、「蚊に刺されないことと予防接種を受けること」を挙げた。予防接種は「インフルエンザだけでなく、A型肝炎、B型肝炎、破傷風などで、日本でしてない人もここで可能なので、受けた方がいい」と話した。
毎年4月は日本からの赴任者を対象にした医療事情説明会に出向いて、注意を呼びかけてきた。
原医師は大分県出身。熊本大医学部卒。南極越冬隊に参加したり、九州の天草で僻地医療に取り組んだりした経験を持つ。「日本の僻地医療は日に50人も患者が来ますから、それに比べると、ここはやっぱりのんびりしてます」と笑顔を見せた。(臼井研一、写真も)