【じゃらんじゃらん特集】「世界にありがとう」 津波刻む記念碑 アチェ州バンダアチェ
スマトラ沖地震・津波が襲ったアチェ州バンダアチェには、さまざまなモニュメントが造られ、大津波の恐ろしさを伝えている。市街まで流されてきた巨大な発電船、民家の屋根に乗ったままの漁船などをそのまま残し、観光地として活用する一方、津波の威力を克明に記録し、次世代に継承する工夫もみられる。
アチェのシンボルとして知られるバイトゥラフマン・モスク横にあるブランパダン広場には、「世界の国々にありがとう公園」が造られた。支援国54カ国の国名、国旗、各国の言葉で「平和よ ありがとう」と刻まれ、支援に対する感謝の気持ちを伝えている。26日の津波10周年追悼式典もここで開かれる。
津波が発生した26日は日曜の朝で、この広場ではイベントが開かれていた。これを取材していた地元テレビ局がまず地震でパニックになる参加者を放映。崩れ落ちる音響設備、叫びながら走り出す人々。全国に大災害が発生した可能性があることを伝えた。
この横に建設されたのが国内外の観光客が訪れる津波博物館。広報担当によると、今年の来場者数は45万人を超え、外国人も2万2千人に達した。だが幼稚園児から小中高校、大学生などはまだ少なく、学校教育の中に取り込んでいく必要があると呼びかけている。
博物館近くには国営電力PLNの発電船が当時のまま置かれているほか、漁港から流され、民家の屋根に乗った漁船もそのまま保存されている。大津波のエネルギーを伝えると同時に、これを「津波観光」と名付け、アチェ州政府は国内外に観光客を誘致している。(配島克彦、写真も)