「タンゴの楽しさ伝えたい」 世界チャンプの山尾夫妻がレッスン  

 二〇〇九年にアルゼンチン・ブエノスアイレス市主催アルゼンチンタンゴ世界大会のサロン部門でチャンピオンに輝いた山尾洋史さん(四一)、恭子さん(三七)夫妻が、ジャカルタのアルゼンチンタンゴ愛好家の招待を受け、二十三日まで個別レッスンを行っている。

 十三日午後八時ごろ、南ジャカルタのクマンジャヤ・アパートメントのファンクションルームで、タンゴ音楽が流れる中、腕を絡めたインドネシア人の男女二人が円を描くようにステップを踏んだ。少し離れたところから、山尾夫妻は「腕はこう」「支えて」と、身振りと英語で説明。時には洋史さんが女性役にまわり、リードする流れなどを指導する。どことなくぎこちない動きをしていた男女の踊りも、次第にほぐれていった。
 山尾夫妻は、アルゼンチン人以外で唯一世界大会のチャンピオンに輝いたダンサー。洋史さんは十二年前に、恭子さんは十一年前に友人に誘われてタンゴを始め、タンゴ音楽に合わせて体を動かす楽しさに熱中。二〇〇六年に結婚後、二人でアルゼンチンにタンゴ留学をした。〇七年にアルゼンチン人ばかりがランクインする世界大会サロン部門で、外国人初の四位を獲得したことをきっかけに、現在はプロダンサーとして国内外で活動している。
 近年、ジャカルタでタンゴ熱が広がり、、愛好家の数は約三十人と小規模だ。実業家のアデ・カディルさんはジャカルタのタンゴを盛り上げようと、年に三―四回、アルゼンチンからプロのタンゴダンサーを招き、個別レッスンプログラムを実施。世界チャンピオン唯一の日本人である山尾夫妻に、同じアジア人として親近感を抱き、今年の年末レッスン・ダンスイベントに招待した。
 三日間で約二十人を教えた洋史さんはインドネシアのタンゴ愛好家について「学ぶことに意欲的。上達したいという気持ちが強いため、ユーチューブなどで情報を集めているが、情報過多になっている。型通りに踊ろうとしすぎている」と指摘。恭子さんは、残りのレッスンで「初心者同士で楽しむことや、もっと音や相手を感じて、原始的に踊る楽しさを伝えていきたい」と意欲を語った。

■16日にディナーショー
 十六日夕には南ジャカルタのダルマワンサ・ホテルのヌサンタラ・ルームでディナーショーを行う。問い合わせは、アデさん(携帯 0813・8080・0200、メール tangojakarta@yahoo.com)まで。

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