【スナン・スナン】絵本の楽しさ、伝えたい 「移動図書館」で夢届ける くりりん文庫 絵本に夢中なって
インドネシアの子どもたちに絵本を届ける活動をしている女性たちがいます。初めて絵本を見る子どもたちは皆興味津々で本を開いていました。「移動図書館」を12年続けているくりりん文庫です。
路地裏の小さな集会所に絵本を抱えて座り込む子どもたちがいた。20人、女の子はお姫様、男の子は機関車トーマスに夢中だ。邦人ボランティア団体「くりりん文庫」の「移動図書館」だ。貧困地域の子どもに絵本の楽しさを知ってもらおうと、ジャカルタ特別州内を不定期で移動し、絵本を届けている。
今回訪れたのは東ジャカルタ・マトマラン地区の裏町。集会所は普段学校に通えない子どもたちに読み書きを教える場所として使われている。「どの場所でも初めて絵本を読んだ子が多いです」とメンバーの堀芳美さん。本が入った箱を最初は遠巻きで見ていた子どもたちも「1人1冊ずつ読みましょう」とメンバー声をかけるとおそるおそる近づき、絵本を選んでいく。皆興味津々、目が輝いている。
活動は2002年から始まった。「日本人にとって絵本が身近にあるが、インドネシアでは一般的ではない」と堀さんは感じていたという。「絵本の思い出は大切でかけがえのないものです。ここの子どもたちにも良い絵本を読ませてあげたい」。最初は各家庭で不要になった日本の絵本を持ちより、物語をインドネシア語に翻訳したコピーを貼った「手作り絵本」で活動していた。「ぐりとぐら」「ごんぎつね」などだ。その後ボランティア仲間で寄付を募り絵本を購入し始めた。現在約300冊の絵本がそろう。現在同文庫は社会福祉財団ヤヤサン・アウリアと共に活動している。
「子どもにとって、絵本はこんなにおもしろいと思ってもらえればいいんです」と堀さんは話す。真剣な表情で読む子もいれば、日本人が珍しいのか話しかけてくる子も。活動は子どもたちが集中できる1時間前後としている。メンバーらが片づけを始めると名残り惜しそうに「次はいつくるの?」「名前は何て言うの?」と質問が飛んだ。集会所を後にするときも子どもたちはずっと手を振ってくれていた。堀さんは話す。「子どもたちが夢中になって絵本を読む姿を見ると、私も自然に笑顔になれるんです」。
*くりりん文庫ではメンバーを募集中。問い合わせは山崎さん(携 帯0815・1447・4618)まで。(西村百合恵、写真も)