過熱するバタム島 東南アジア市場統合の拠点地へ

 インドネシアの代表的な自由貿易地域であるリアウ諸島州バタム島。浮上するインドネシア経済の勢いに乗り日本企業にもその存在感は一段と強まっている。課題だったインフラストラクチャー(経済社会基盤)の整備や外国人の居住環境の向上は隣接シンガポールとの連携で大きく改善した。一方で2015年に迫った東南アジア市場統合に向けた一大供給拠点という新たな役割も期待されている。
 シンガポールのタナメラ港から1日に96便運航するバタム島行きフェリーボート。背広姿のビジネスマンからジーパン姿の作業員風の青年まで船内はどこにでもある普通の通勤風景である。もちろんパスポートは必要だが、シンガポールに住み、バタム島で働く人も少なくない。
 インドネシアの首都ジャカルタからだと飛行機で1時間はかかるバタム島だが、実態はもはやシンガポールの一部にも見える。日本からの投資は各種部品企業を中心に27社が進出している。各社とも安い労働力を当てにした生産拠点として位置づけていた。ここへきて東南アジアの経済統合の流れが本格化、広大な東南アジアへの供給拠点として新たな位置づけが出てきた。
 こうした流れを踏まえて、バタムフリーゾーン監督庁は、新たな企業誘致方針を打ち出した。従来の労働集約型産業分野だけでなく重厚長大産業分野の日本企業を誘致することを目標にする。日本をはじめとする外国企業が動きやすいよう「より柔軟な制度を採用する」(ムストファ・ウィジャヤ長官)としている。
 もちろん、現地で働く外国人のための住環境整備は潮の流れに敏感な外国企業の手で始まった。ゴルフ場や和食を含む各種レストランの整備も一層進んでいる。「こんなものまで食べられるようになったのです」とエプソン・バタムの両角克彦さんはうまそうに日本食屋で日本と変わらないホルモン焼きを見せてくれた。
この10月インドネシアに新しい大統領が誕生する。国の経済を国際レベルまで引き上げを目指す新政府にとり、バタム島はその腕試しの場になる十分な条件を整えつつある。(藤本迅、佐藤拓也)

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