【じゃらんじゃらん特集】 原生林を抜けて 光と階段の寺へ バリ島ルンプヤン寺院
チョウジやコーヒーなどが植えられた里山から原生林の険しい道を登りルンプヤン寺院に着いた。バリ島カランアセム県のルンプヤンは、バリ・ヒンドゥーの総本山であるブサキや南端のウルワツと並ぶバリ9大寺院の一つ。東端に位置することから、バリの人々からは「神の光の寺」としてあがめられている。
東海岸のチャンディダサを通り過ぎ、ルンプヤンの裏参道入り口に着いた。周辺は果物や香辛料となる草木が多数植えられた林だ。時折、草刈りをする農民と出会うだけの静かな道を30分ほど歩くと、急に前が開けて真ん中に祠(ほこら)がぽつんと立っていた。聖地への入口を示したものだ。サロン(腰巻き)とスレンダン(肩掛け)を付け、線香を立てて祈ったあと、30分間の瞑想を試みた。目を閉じると鳥のさえずりや風が通り抜ける音が鮮明に聞こえ、呼吸が自然と深くなった。
サロンとスレンダンを巻いたままで寺院に向かった。「居住や所有、一切の農作業禁止」と書かれた看板の向こうは手付かずの森だ。熱帯雨林特有の、幹や枝から太い気根を伸ばしたタコノキが現われた。根が人の手足に見える不思議な木だ。
斜面をほぼ真っ直ぐに進んだ。息が絶え絶えになったころ、一番高い位置にある本堂に到着。雲の中に入ったのか回りは白一色だ。ここからは表参道である1736段の階段を下りて山の中腹にある寺院を目指した。参拝に向かう正装姿のバリ人らとすれ違った。
山には野生のサルが多い。大きな祭日には供物の果物を狙って何十匹というサルが押し寄せ、祈っている端から祭壇の供物をさらっていくそうだ。途中の売店にはサルに投げつける大きな石が用意してあった。空砲を鳴らして追い払う人もいる。
階段はルンプヤン寺院群の中で最も大きな寺で終わっていた。こちらがガイド本でルンプヤン寺院として広く紹介されている場所。幅広い階段の前にある割れ門の外に立つとバリ最高峰のアグン山が一望できる「天空の寺院」だ。
帰りに観光名所のティルタガンガに寄った。1948年にカランアセムの王が作った水の離宮で、大小の湧き水のプールがある。ひんやりと肌に柔らかい天然の水が心地良かった。
(北井香織、写真も)
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