【じゃらんじゃらん特集】自然食レストランにようこそ バリ島ウブド「秘苑」 原発事故で移住、堀さんら3家族
シャッターの下りたワルン横の控えめな看板を奥に入ると、石造りの門の向こうに草木の生い茂る庭があった。東日本大震災をきっかけにバリに移住した堀勝貴さんらが去年バリ島ウブドに開いたカフェ「シークレットガーデン 」にようこそ。
庭には東屋が距離を置いて設けられている。突き当たりは緑に覆われた渓谷になっており、かすかにせせらぎが聞こえた。カフェというより個人宅にお昼を食べに来たようだ。看板にあった名物のベジすしを選んだ。正直「野菜のおすしなんて‥」と思ったが、オリーブ油でソテーしたトマトがこれほどすし飯に合うとは。ズッキーニもパプリカもイカのように見えるココナッツの果肉も一人前の「すし」になっていた。
福島の原発事故が起こったとき、堀さん夫妻は真っ先に当時7歳の息子の健康を心配した。住んでいたのは三重県だったが、なるべく放射能汚染地から離れようと、同じく幼い子どもを持つ近所の2家族と一緒に九州の由布院に引っ越した。そこで自然食レストランを経営していたが、安全と思った九州で震災の瓦礫の焼却が行われることになり、思い切ってバリ島に移住。3家族で会社を設立し、ウブドでカフェと雑貨屋を営むに至った。
「放射能汚染に対する考え方は人それぞれですが、私たちのカフェでは地元産の食材を使うようにしています。放射能のことだけでなく、輸入に頼らずできるだけ現地でとれた食材を使いたいからです」と堀さんは話す。
メニューの最後にはそれぞれの食材の原産国を表示してある。コメや野菜はバリから、納豆、味噌、酢は国内産の原料を使用した自家製だ。例えば、有機発芽玄米の味噌、ココナッツから作った酢。この酢を使ったすし飯も、ベジすしと一緒に出された味噌汁も、日本で食べるのと変わらなかった。焼き鳥やハンバーグなどの肉料理や魚料理、バリ料理もある。お腹がいっぱいになったら横になって昼寝をしたくなる居心地の良い場所だ。(北井香織、写真も)
Secret
Garden Café (シークレットガーデン・カフェ)
営業:午前10時〜午後9時
休:ニュピを除いて無休
Jl. Tirta Tawar, Ubud Bali
0852・3811・4980