【じゃらんじゃらん特集】ブタウィ英雄の隠れ家で ージョコウィ出馬宣言ー 北ジャカルタ・マルンダ 「ピトゥンの家」
「メガワティ党首に大統領候補になるよう命じられた」「アッラーの御名において、私はその命に服す準備ができている」
3月14日。ジョコウィ氏の出馬宣言はわずか数十秒で終わった。近隣のモスクで金曜礼拝をした後、「ピトゥンの家」に設置した国旗メラプティの前で発表した。
ピトゥンはオランダ統治時代の1900年前後に、バタビア(ジャカルタ)で暗躍した「ブタウィ(ジャカルタ土着民族)のロビン・フッド」。オランダ人の官吏や豪商らの邸宅に侵入し、金品を盗み出す。それらをバタビアの人々に分け与える。伝統武術プンチャック・シラットを自在に操り、捜査当局の追跡を巧みにかわす。オランダにとっては得たいの知れない盗賊、バタビアの人々にとっては植民者をけむに巻く英雄。武勇伝は演劇や映画に取り上げられ、親しまれてきた。
この家は、ピトゥンをかくまったイスラム指導者の旧家で、ジョコウィ氏が敬愛する故アリ・サディキン・ジャカルタ特別州知事が70年代に文化財に指定した。これまで改修を繰り返し、今でも休日には首都圏からたくさんの人々が訪れる観光名所になっている。
管理人によると、このイスラム指導者の末えいは今でも同地区に住んでいるが、ピトゥンの墓地や末えいについては諸説あり、いまだによく分かっていないという。(配島克彦、写真も)