【じゃらんじゃらん特集】 掘り出し物を探しに 古着のカエル市場 バリ島タバナン
「これ、カエル市場で3万5千ルピアで買った古着なの」。友人が着ていたのは落ち着いた色合いの綿100%の日本製のワンピース。カエル市場とはバリ島タバナン県の、かつて田んぼに囲まれていたため、そう名付けられた大規模な古着市場だ。「商品が入れ替わった頃にまた行きたい」と友人が言うのを聞いて、一見の価値はありそうと平日の朝、タバナンに向かった。
市場はデンパサールから約1時間、タバナンの市街地を通り過ぎ、道路右側のカシイブ総合病院の看板のある道を右に入る。でこぼこの道をしばらく進み、また右に曲がると、前夜の雨で水溜りができた道の両側に衣服をつったトタン屋根の店がずらりと並んでいた。
中に入るときれいにアイロンをかけた、洗剤の匂いがする大量の白いワイシャツ、その向かいに色とりどりのポロシャツが下がっていた。サンプル商品なのだろうか、新品同様のものも多数ある。品質表示には日本製とあった。
隣の店には半ズボンが並んでいた。奥でジルバブ姿の若い女性が短く切った長ズボンの裾をミシンで縫っていた。バリは暑いからこうして半ズボンにした方が良く売れるのだそうだ。
カエル市場は90年代の終わりに、マドゥラ人が古着の店を出したのが始まりだ。その後、次々にマドゥラ人がやってきて、この辺りはマドゥラ村と呼ばれるようになった。今ではバリ人やジャワ本島からの人々も彼らに混じって古着を売っている。ここから古着を仕入れ、デンパサールで売っている人もいる。
「バンドンやマカッサルの業者に電話で100キロ単位で注文する。中身は荷を空けてみないと分からないが、日本製や韓国製のものがほとんどだから、品質はいいよ。未使用のものもあるしね」と店の人が話した。
子ども用の水着を手に取ると、裏にひらがなで名前が書いてあった。たまにポケットの中から1万円札や千円札が見つかることもあるという。
トタン屋根の店内は蒸し暑い。最初は大量の古着に圧倒されたが、掘り出し物はないかと探すのが面白くて、気が付いたら4時間も市場をうろうろしていた。
価格は衣料品の場合、1点1万5千ルピアから4万ルピアくらい。営業は午前10時ごろから午後5時ごろまで。平日が空いていて見やすい。(北井香織、写真も)