【写真劇場】路上の子どもたち
昨日いたトゥガル・サプトラ君(11)の姿はなかった。「弟は警備隊に連れて行かれちゃった」。兄アジ・ムバラット・タンジュン君(15)はギターを手に、州警備隊に保護されたトゥガルさんを引き取るための金を集めていた。
南ジャカルタの歓楽街ブロックM。日本食料理店やカラオケ店が軒を連ねる街頭に、ギターの音は響く。弾き語りとは言いがたいが、アジ君はすれ違う邦人からお金をもらっていた。貯金は20万ルピア。警備隊から要求された100万ルピアに程遠い。
帰る場所がないわけではない。親がいれば、家もある。だが、家にほとんど帰らない。弾き語りや物乞い。お金を得る手段は十人十色。学校に通っても先は見通せない。路上では、大人が気安くお金をくれる。
物乞いをするヌルル・ハヤティさん(14)は2年前、交通事故で妹ラフマちゃん(当時9歳)を亡くした。ブロックMからの帰り、大通りをバスが走っていた。路上には危険があふれる。だが、正午から翌日の午前4時まで路上で過ごす。約10万ルピアが入った貯金箱を振り「70万ルピアの自転車がほしい」。ごく普通の子どもだった。
ジャカルタ特別州社会局は、約6千人の子どもが路上にいるとみるが、国家児童保護委員会は1万人以上と指摘。子どもの数について、同局担当者は「経済状況や季節によって変わるため、正確な数は把握できない」と話す。(上松亮介、写真も)