楽しくほがらかに 学習発表会開く 宮沢賢治の童話演じる バンドン日本人学校
バンドン日本人学校(BJS)は十三日、学習発表会を開催し、子どもたちが保護者らに元気あふれる姿を披露した。
「たった一人でこの家に住んで、朝から晩までどろんこになって働いている宮沢賢治‥」と賢治の分身の永田輝さん(中三)が観客に話しかける。小・中学部演劇「セロひきのゴーシュ」の序幕の一場面だ。
中村直紀さん(中三)演じる、童話「ゴーシュ」執筆当時の賢治と家族とのやりとりを、賢治の分身が解説する形式で、作品の背景を観客に伝える。賢治は農学校の教職をやめ、農作業に精を出し始めたばかり。
本編は主人公の楽団員ゴーシュがセロの腕前が上達せずに苦悩するシーンから始まる。ゴーシュが夜っぴてセロを練習していると、ねこ、かっこう、ねずみと子どもたちが演じるかわいらしい動物たちがやってくる。動物と触れ合う中で、ゴーシュはセロの弾き方を体得し、こっぴどくゴーシュを叱っていた楽長を喜ばせるという心温まる話。
ゴーシュを演じた平川凌二さん(小五)は「怒りや悲しみを表現するのが難しかったけど、上手く演じられた」と達成感をのぞかせた。中三の二人には、最後の学習発表会となった。中村さんは「緊張がすぐに解れ、楽しく演じることができた」と笑顔。永田さんは「難しい劇だったけど、今までで一番いい劇になった」と話した。
宮沢賢治は東日本大震災の被害が大きかった岩手県花巻出身。今回の劇の選定には、日本に元気を送る思いも込められている。児童・生徒会長の矢倉珠喜さん(中一)を中心に作った「みんなで結ぼう! 日イのかけ橋を」とのスローガンを掲げた。
幼稚園児らは演劇「がんばれ ももたろう」で魅せた。桃太郎はさる、きじ、いぬとともにきびだんごで力を付けて、鬼を退治。体いっぱいに演じる様子にはやさしいまなざしとあたたかい笑いが寄せられた。いぬ役ののぐちかけるくんは「たくさん練習した。面白かった」と感想を話す。
開会後と閉会前に演奏・合唱が行われた。小・中学部は歌手・平原綾香のアレンジ曲のある「木星」を合奏し、人気バンド・いきものがかりの「ありがとう」などを合唱。最後は幼稚園も入れて、インドネシア歌謡「チャン・マリ・チャン」「ラヤ・サヤンゲ」で締めた。
松下安男校長は閉会式で「合唱、劇と皆さん良くやってくれた。これからも自分に自信を持って頑張ってほしい」と激励した。