【人と世界 manusia dan dunia】 神様からの贈り物 父親になったイヤン・スティアワンさん(24)
9月7日朝、イヤン・スティアワンさんは南ジャカルタ・ルバックブルスにあるプスケスマス(診療所)の前を行ったり来たりしていた。もうすぐ産まれる赤ん坊の姿を思い浮かべると、いても立ってもいられない。「無事産まれてほしい」。神に祈った。
午後1時、女の子が元気な産声を上げた。母子ともに異常はない。妻スミアティさん(22)の隣の娘に近づき、イスラムの祈りの言葉を右、左の両耳に聞かせた。自尊心が強く美しい人、敬けんなムスリマ(イスラムの女性)に育つよう、その意味を持つアフィファ・フィティアのアラビア名をつけた。
24日昼下がり、開け放されたイヤンさんの自宅に、風は吹き抜ける。蚊避けの中で、アフィファさんは寝息を立てる。体重3.7キロ、身長53センチ。黒い縮れ毛と上向きの上唇は父親のイヤンさん、まん丸の目と低い鼻は母親スミアティさんに似てきた。
来月17日、アフィファさんの誕生から40日が経つ。イスラムの伝統に従い、ヤギを一頭買う。近所の人らに肉を分け与え、ともに新しい命の誕生に感謝する。 (上松亮介、写真も)