【じゃらんじゃらん特集】懐かしい風景の散歩道 バリ島ウブド
バリ島ウブドの観光と言えば美術館巡りや舞踊鑑賞だが、これらと並んで人気のあるのがチャンプアンの尾根伝いを行く散歩コースだ。私が初めてウブドを訪れた18年前、この道は辛うじて1人が通れるほどの狭い泥道だった。その後、幅が広げられ、セメントが敷かれ、大勢の人が行き交うようになったが、尾根からの眺めはあの頃の様子を留めている。
散歩コースの入り口は、ラヤ・ウブド大通り沿いのホテル「イバ」のそばにある。2本の川の合流地点を意味するチャンプアンという場所だ。ウブド最古の寺とされるグヌン・ルバ寺院を通り過ぎると、ここまで平行して流れる2本の川の峡谷が作る尾根伝いに細道が伸びている。
左手の渓谷の向こう側には斜面に張り付くように茅葺屋根のホテルが点々とし、右手の斜面にはこの辺りで刈り取ったと思われる茅が干してあった。草木の緑、抜けるような青空、白い雲が描く景色はまるで絵のようだ。ヤシの木を除けばとても懐かしい感じもする。
道沿いの草花にも注目しながらゆっくり歩くこと1時間、小さな村に到着した。バリ絵画を売る店や立派な門構えの家などを通り過ぎると、茅葺屋根のレストランが左側に見えてくる。この辺りから道が広くなり、車やオートバイの往来があるので、チャンプアンまで逆戻りする人が多い。さらに歩く場合は、左に折れ、起伏のある道を進むと寺院を経て最終的にウブド・ラヤ通りに続くサンギガン通りに出る。
もっと散歩を楽しみたい人には、周辺の田んぼのあぜ道を行くコースがある。イバから大通りをウブド王宮方面に少し歩くと、入り口にホテルやレストランの看板の掛かった坂道が左手にある。それを登り、石畳の細い道を進むと、田んぼのあぜ道に繋がっている。こちらもコンクリが敷かれ散歩コースとして整備されている。
貸家や店などが増え、それだけ田んぼが少なくなった印象だが、老舗の自然食レストラン「サリ・オルガニック」を越えた辺りから、以前と変わらない、のどかな風景が広がっていた。2時間ほど歩くとスウェタ通りに出るので、車が手配できたら、この辺りで待ってもらえばいいだろう。 (北井香織、写真も)