【じゃらんじゃらん特集】自然と共に、手作りの樹皮布 あすまで展覧会 テキスタイル博物館
世界各地に伝わる伝統文化「樹皮布」の、インドネシア国内各地とオセアニア地域の作品約120点を集めた展覧会が14日(土)まで、西ジャカルタのテキスタイル博物館で開かれている。国外の「樹皮布」が出品されるのは、初めて。インドネシアと他地域の文化のつながりを感じる機会となりそうだ。
会場では5日樹皮布の制作・発展についての講演や樹皮布を使ったバティック制作体験会などを実施。中部スラウェシ州シギ県のトバニ・リニョティクさん(72)らが樹皮布作りを実演した。
トバニさんは17歳の時に母親から教わって以来制作を続け、今では息子に教える熟練者だ。「1945年の独立直後、お金持ちしか布を買えなかった時代は、樹皮布で作った衣服が日常的に着られていた。今では結婚式などの行事で着るぐらい」と話す。
長く、薄いほど価値が高い樹皮布。長時間樹皮をたたき続ける必要があり、制作には根気がいる。「1枚の布を作るため、3週間かけて樹皮をたたき続けるの。休むのは食事のときだけ。でも慣れているし、苦にはならない」とトバニさんは話した。
1本の木から採取するのは、1週間に1回、1枝のみ。材料の取り過ぎを防ぐ知恵だ。自然と共に、樹皮布の文化はこれからも受け継がれていく。(宮平麻里子、写真も)