海と岩壁が織り成す景観 世界的サーフポイント バリ島ウルワツのスルバン・ビーチ
バリ島の南端、インド洋を見下ろす70メートルの断崖絶壁に立つウルワツ寺院。景観や夕暮れ時のケチャックダンスで有名な場所だが、この下に世界のサーファーが集うスルバン・ビーチがある。昼下がり、寺院の手前を右折し、階段を下りてビーチに行ってみた。バーやお土産屋、サーフボードの修理屋が並ぶ通りを経て、梯子のような急な階段を恐る恐る下りると、青い海、白い砂、荒波に侵食された奇岩が織り成す夢のような光景が広がっていた。
海を一望できるカフェは景色を楽しむ人たちでにぎわっていた。英語、オランダ語、ロシア語が飛び交う横を、サーフボードを軽々と小脇に抱えた若者らが次々に階段を下りて行く。先ほど通り過ぎた男女が岩陰から沖に向かってパドリングするのが見えた。目の前は大きくうねる海。後ろは岩の壁。「なんと大胆な‥」と素人目には映る。
「コンスタントに大きな波が立つ、世界のサーファーの憧れのポイント。中級者から上級者向けで、一度沖に出ると戻ってくるのが困難なことでも知られる」とバリ在住のプロ・サーファー、杉本望さんは話す。
スルバン・ビーチは1970年代初期より知られるようになった。当時は到達するのが困難な秘境のよう場所だったが、階段が整備されてからは、サーファーだけでなく普通の人も気軽に行けるようになった。
岩壁に挟まれたビーチはまるで映画から抜け出したような場所だ。サーファーに混じって、地元の観光客や家族連れも多く、珍しそうに岩壁や海を背景に写真を撮っていた。
私が訪れた時は潮が引いており、ビーチに潮だまりができていた。これなら水遊びもできそうだ。逆に、水が深くなる満潮時は波が荒いので泳ぐのは危険。水遊びをしなくても、もちろんサーフィングをしなくても、素晴らしい景観とサーファーたちの雄姿を十分楽しめる場所だ。 (北井香織、写真も)