環境・健康に配慮 天然成分の石けんを開発 インティ・バリ サヌール在住の岡柳さん
「家族でなるべく自然に近い素材を使って生活してみたら、体の調子が一気に良くなった」という実体験から、バリ在住の岡柳薫さん(四七)は二〇〇三年に、人体、生活環境に影響を与えるとされる化学物質を一切使わずに作った石けんや化粧品を扱うブランド「インティ・バリ」を立ち上げた。(バリ島差ヌールで堀田実希、写真も)
ココナッツオイル、オリーブオイルをもとにした、完全に無添加の石けんだ。岡柳さんは、ホルモンバランスを整える効果のあるローズゼラニウム精油、古来より万能薬として使われているティートゥリー精油など、効能を持つ天然成分に注目して商品を開発した。
インドネシアの文化も取り入れている。若白髪に悩んでいる記者に対して、岡柳さんは「バリにはハイビスカスの葉で髪を洗う習慣があり、現在もその習慣を続けている人々は、白髪や薄毛の悩みがないそうですよ」と、ハイビスカスの葉を配合した石けん「クールリーフ(三万五千ルピア)」をすすめてくれた。そのほか、美白効果にあるインドネシアの伝統薬(ジャムー)を取り入れたものもあるという。
現在はバリ島ジンバランのホテル「アヤナ・リゾート&スパ(旧リッツカールトン)」で使用されるほど評価が高く、日本の東急ハンズや伊勢丹などでも販売されている。
■きっかけは子どものアレルギー
岡柳さんはもともとジャカルタの水産関連の企業で働いていたが、仕事の関係で二〇〇〇年に家族でバリに移住した。
同年、当時五歳だった長女が頭皮にかゆみを訴え出した。出血するほどかいてしまうため、頭皮には膿みもできた。
バリ島の皮膚科医師に相談したところ、食べ物のアレルギーであると診断を受けた。抗生物質と塗り薬を処方してもらったが、一向に良くならなかった。それどころか、抗生物質の副作用で、今度は胃がおかしくなるなど、事態は悪化した。
改善策が見つからないまま数カ月が過ぎたころ、大学で環境について勉強していた妻の慶さんは、家族全員で、体に悪い影響を与えるものを一切取らないよう、食事制限を提案。
また、慶さんは、普段体や髪を洗うのに使うボディソープやシャンプーに、合成界面活性剤など皮膚に悪影響を与える物質が入っていることに気付き、天然素材の石けんを発注した。家族全員で歯磨き粉も使うのを止めた。
ケチャップ、ソースなどの化学調味料や、化学物質が含まれていると懸念されることから、白米、肉料理、海産物、乳製品を一切使わず、かわりに調味料は天然醸造のしょうゆ、一番搾りのごま油、天然塩、玄米を食べる生活を続けた。医師から処方された薬もやめた。
その結果、わずか一週間ほどで長女の体調が改善し始めたという。「このときに、私も一カ月で七キロ痩せた。娘の体調だけでなく、自分も風邪などにかかりにくくなった。『自然に近い生活は体にとっていいものだ』と身をもって感じた」と当時を振り返った。
その後、ジャカルタにいる友人に、発注した石けんを配布したところ評判に。ジャカルタで注文を受けるほどになったのをきっかけに、本格的に石けんの商品開発をするようになったという。
■環境に悪いものは自分にかえってくる
長女のアレルギーの原因は特定されていないが、魚だと考える岡柳さん。「環境に悪い成分を含む洗剤を使い、排水が海に流れ込む。その水の中で育った魚が、食卓に並び、自分たちの生活、健康に害を与える。環境に悪いものは、自分や家族にかえってくる」と話し、環境保護につながるものを使うことが、自分たちを守ることにつながると語った。
本店は、バリ島サヌール( Jl. Bypass Nigurah Rai No.9X Blanjong Sanur, Bali)。ジャカルタでは、南ジャカルタのインティ・バリ・ジャカルタ支店(Jl. Prapanca Raya No.35-36)のほか、ブロックMの日本食スーパー「パパイヤ」、中央ジャカルタ・ミッドプラザ地下のコンビニ「ピーマン」、南ジャカルタの雑貨店「マリアミ」で購入できる。