ICカード乗車券復活 コパジャの乗り入れも 渋滞緩和へ躍起 トランスジャカルタ

 東南アジア最大となる約1千万人の人口を抱える大都市ジャカルタで、日に日に悪化する渋滞を少しでも軽減しようと、専用レーンを走るバス「トランスジャカルタ」で様々な試みが続けられている。2004年初めに鳴り物入りで導入されたトランスジャカルタも今年で10年目。設備の老朽化も目立つようになり、運営を統括する公共サービス機関(BLU)トランスジャカルタ社は新車両の導入などを進めている。22日には、ICカード乗車券の運用を再開し、コパジャ(ジャカルタ輸送組合)のエアコン付きバスの専用道乗り入れも開始。渋滞緩和やサービス向上に躍起だが、電光掲示板の表示や監視カメラなど、これまでも数多くの新サービスを導入しながら、時間が経つにつれ機能しなくなったものも多く、どれだけ効果が上がるかは未知数だ。
 「まだ慣れないけど、スムーズでいいね」。毎日バス通勤するヘンドロ・スサントさんは23日、22日から第1路線(ブロックM〜コタ)で運用が開始されたICカード乗車券を中央ジャカルタ・サリナ停留所で早速購入。新たに改札口に設置された読取機にチケットをかざした。「特に朝はチケット売り場が混むから電子チケットの再開はうれしい」と話した。
 トランスジャカルタでは、2004年の運行開始当初からICカード乗車券が導入されていたが、運営面の問題で停止。今回、国営ヌガラ・インドネシア銀行(BNI)、セントラル・アジア銀行(BCA)、DKI(ジャカルタ特別州)銀行など5行と連携し、再開にこぎ着けた。
 サリナ停留所でICカードを販売していたトランスジャカルタ社のダフィット・オクタフィアヌスさんは「今度は銀行の支援もあってきっと続く」と期待を込めている。
 カードはプリペイド式で購入時に5万ルピアを支払う。最大100万ルピアまで入金でき、各行のATMやトランスジャカルタの停留所でチャージが可能。マンガライやブロックM、ドゥクアタス、サリナなど13のバス停で購入できる。現在は第1路線での試験運用だが、4月までに他路線にも拡大する予定だ。
 州交通局のウダル・プリストノ局長によると、トランスジャカルタは1日平均32万枚の乗車券を販売し、11億2千万ルピアの売上がある。ジョコ・ウィドド州知事は、今回の新システムの再開などにより、将来的に1日の乗車券販売目標を現在の3倍以上の100万枚まで引き上げ、年間収益が1兆2600億ルピアになると見積もっている。
 また、他のバスだけでなく、計画が進められているMRTやモノレールなど他の公共交通機関を含めた統合的な決済システムを構築し、首都の交通システムを整備するとともに利便性の向上を図る意向を示している。

■公共輸送機関の利用を
 市内バス・コパジャ(ジャカルタ輸送組合)のバス専用車線への乗り入れ開始は、第1段階として、20台が投入された。
 対象はP―20(スネン〜ルバックブルス)とS―13(グロゴル〜ラグナン)の2路線で、トランスジャカルタが使用しているバス専用車線と停留所を使用する。
 停留所からエアコン付きコパジャを利用する場合は、停留所でトランスジャカルタの3500ルピアを支払った後にコパジャ内で5千ルピアを追加料金として支払う。エアコン付きコパジャは通常は6千ルピア。コパジャではトランスジャカルタの電子チケットは使用できない。
 ジョコ州知事は今年中に千台のコパジャとメトロミニを投入する意向を示し、2月末までに、メトロミニ20台の乗り入れも開始する予定。ウダル局長は乗り入れを通じ、バスの待ち時間を短縮し、自家用車から公共交通機関への乗り換えを促したいとしている。(高橋佳久)

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