【じゃらんじゃらん特集】 遠浅の海に愛の橋 プラウスリブ・ティドゥン島
「ジュンバタン・チンタ(愛の橋)」。遠浅の海の上に架けられた円弧を描く形の橋。カップルの観光客が多く訪れるからなのか、地元の人々がこう呼ぶようになったという。今では島の代名詞になり、高さ5メートルほどの橋の上から飛び込んで遊ぶ海水浴客でにぎわう。
北ジャカルタ・ムアラアンケ港からフェリーで約3時間。プラウスリブ諸島の島々が点在するジャワ海を進んでいくと、ティドゥン島が見えてくる。ジュンバタン・チンタから伸びる約800メートルの木製の歩道が、ティドゥン・ブサールとティドゥン・クチルの大小2つの島を結んでいる。島の周りはエメラレルドグリーンの海。海岸から200メートル沖までは遠浅でサンゴの林が広がる。日差しが強い昼間は海水浴客も少なめだが、朝夕はバナナボートやジェットスキーが行きかう。
ただ、この島にリゾートはない。さまざまな施設を完備した高級ホテルも、ジャカルタ市街地のようなナイトライフも皆無で、住民が経営する民宿が港や海岸周辺に並ぶ。モスクのアザーン(礼拝の呼び掛け)が漁村に響き渡る中、レンタル自転車をこいで民宿と海岸を往復し、ココナッツジュースを飲みながら、地元の食堂で獲りたての魚を食べるのが、この島を訪れる観光客のスタイルだ。
人口は約4300人で、110島あるプラウスリブ諸島の中で最も多い。住民によると、連休や長期休暇のハイシーズンには観光客の数が住民を上回る。観光客用の新しい民宿も多く、建設中の建物も目立つ。アンチョール海岸からクルーザーで乗り付ける富裕層もいるほか、首都圏各地から無人島のティドゥン・クチル島にマングローブの植樹にやって来る団体も増えているという。
地元自治体は、ウントゥン・ジャワ島やプラムカ島などとともに、ティドゥン島を観光開発しようとしている。昨年1月には、新設されたムアラアンケ港からフェリーが就航したばかり。都心からやや時間はかかるが、ボゴールのプンチャックやバンドンのように、ジャカルタ市民がもっと気軽に来られる観光地になる日も遠くなさそうだ。(配島克彦、写真も)