【じゃらんじゃらん特集】 ジャワ風の教会で メリークリスマス ジョクジャのガンジュラン

 クリスマスが古都ジョクジャカルタにもやって来る―。マリオボロ通りなど観光客でにぎわう中心部から南へ車で約30分。インド洋に面する海岸の手前に、ジャワ風の建造物が並ぶカトリック教会「ガンジュラン」がある。
 石を積み上げた入り口を入ると、屋根が高く、壁のないジャワの伝統建築がそびえる。「この建物は、2006年5月の中部ジャワ地震で倒壊した後、再建されたもの。09年に完成したばかり」
 教会を管理するムジマンさん(71)は、震災の復興支援を受け、教会は生まれ変わったと話す。「建築様式もヨーロッパ風から、ジャワの伝統的要素を全面的に配したものになった。震災を機に、ここの信者たちは、王宮も精神的支柱とするジョクジャのカトリック教徒であることを改めて意識するようになった」
 ガンジュラン教会は1928年、オランダ人が建設。この宣教師は他にもジョクジャで製糖工場や学校、病院を建てたことで知られる。しかし、信者の間にはジャワの民間信仰も色濃く残っている。中庭には遺跡を思わせる祠堂があり、内部にはジャワの服を着たキリスト像が安置されている。
 ジャワ各地では同様に、民間信仰と混淆したカトリックの儀礼が行われ、教会の建造物にもその影響が見られる。ジョクジャではガンジュランのほか、グヌンキドゥルの丘陵地にあるトリティス、西部のスンダン・ソノ、ヒンドゥー教の世界遺産プランバナン寺院の東部にあるスンダン・スリニンシなどがある。
 ガンジュラン教会付近に住むヌグロホさん(28)は「ジャワ各地の教会を回る巡礼もよく行われている」と語る。特にマリア像の近くに湧き出る聖水は治癒効果があると信じられ、各地を回って持ち帰る信者も多いという。(配島克彦、写真も)

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