震災被災者に思い馳せ 男声の力強さ、女声の優しさ響かせる 邦人合唱団合同コンサート
在留邦人で作るジャカルタ・サザンクロス混声合唱団、女声のコール・ムティアラ、男声のジャカルタ・メール・クワイヤーは9日、南ジャカルタのクニンガンのウスマール・イスマイルホールでジョイントコンサートを開いた。インドネシア人合唱団なども友情出演。各合唱団がそれぞれの魅力を持ち寄り、客席に集まった家族や友人約400人に歌声を届けた。
実行委員長の吉田信さんによると、邦人だけでなく、地元の合唱団と交流しながら音楽を楽しむことと、歌を通じて昨年の東日本大震災被災者にメッセージを送ることをコンサートの主なテーマに据えた。
混声は合唱組曲の「蔵王」から蔵王讃歌など6曲を選び、春の軽快さや吹雪の荒々しさなど、四季の移ろいを表現。女声はフィガロの結婚の「華やかなオーバチュア」や中島みゆきの「時代」など、オペラからポップスまでバラエティー豊かに歌い、観客を楽しませた。男声は組曲「人間の歌」から5曲を、伴奏なしで力強く歌い上げた。
インドネシア人合唱団の「ティムティワ・クワイヤー」は男女ともにバリ風の民族衣装で登場。スカルノ初代大統領が愛したとされる「愛国の花」を日本語歌詞で歌うなどした。歌声だけでなく、手足をくねらせながらの感情表現に会場からは笑いと大きな拍手が上がった。邦人のフルートサークル「キョラ・ムーン」も出演した。
閉幕前には参加合唱団が合同で「NHK東日本大震災プロジェクト」のテーマソングになっている「花は咲く」、森山直太朗の「さくら」、スマップの「世界に一つだけの花」を歌い、震災被災地に思いを馳せる機会とした。
混声、男声、合同合唱の指揮を執った川西一男さんは合同合唱を振り返り「それぞれの部が集まって練習したのは数回だけだったが、心を一つにできたのは歌の醍醐味だ」と満足げ。女声コーラス部部長の高井美奈子さんも「同じコーラス部でも男声の力強さ、女声の優しさといった持ち味があり、層の厚いコンサートになった」と話した。
3部のジョイントコンサートは昨年に次ぐ2回目。
混声合唱団は毎週土曜日夕方、女声コーラス部は毎週火曜日午前、男声合唱団は同夜に、それぞれ中央ジャカルタのジャカルタ・ジャパンクラブなどで練習している。(道下健弘、写真も)