歩いて感じる古都復興の息吹 第4回ジョクジャ世界遺産ウォーク 邦人や学生、1600人参加
2008年の日イ国交樹立50周年を記念し始まった「ジョクジャカルタ世界遺産ウォーク」(主催・ジョクジャウォーキング協会、実行委員長・プンバユン王女)の第4回大会が24、25の両日、プランバナン寺院周辺、ムラピ山山ろくのトゥリ地区であった。今回は過去最高の81人の日本人やガジャマダ大学(UGM)の各国留学生など外国人や、地元小中学校の生徒ら約1600人が参加。世界文化遺産をはじめ、ムラピ山噴火から復興したジョクジャの魅力を楽しんだ。(上松亮介、写真も)
参加者らは24日早朝、5、10、20キロに分かれてジョクジャ北東部に広がるヒンドゥー教遺跡群を横目に歩き始めた。
「ジョクジャでこそ、多様性あふれるインドネシアを感じることができる」。プランバナン寺院を背に、参加者に付き添う学生ボランティアの一人、アンディ・スティアンタさん(23)はジョクジャ出身。かつてヒンドゥー教の王国が栄えたジャワのムスリムとして、参加者がインドネシアの歴史に触れることができると強調する。
リュウガン(ムクロジ科)の木があるカンプン(集落)の庭先。塀からのぞくと、住人が微笑む。「スラマット・パギ(おはよう)」と参加者らがあいさつすると、住民は照れくさそうに会釈する。村の子どもたちは「明日も来てね」と元気いっぱい。ガジャマダ大に留学する古森七瀬さん(21)は「もてなそうとするインドネシア人らしさが感じられる」と話した。
2日目のウォーキング場所、トゥリ地区は2010年のムラピ山噴火の被災地。火山灰で真っ白になったジョクジャ名物の果物サラックの林はうっそうと茂り、鱗(うろこ)のような表皮に覆われた実があちこちになっていた。当時マスクを送るなど被災地を支援したジャカルタ・ジャパン・クラブ(JJC)の山崎紀雄元理事長は「経済だけでなく、震災を通じてより深くなった日イ関係がジョクジャにある」と振り返り、10キロコースに挑戦した。
ジョクジャカルタ世界遺産ウォークは昨年、国際ウォーキング協会(IML、本部オランダ・ハーグ)の審査を受け、国際基準を満たしていると判断された。来年フランスで開かれる総会で、同協会への正式登録の可否が決定される。国際大会として認可された場合、国際ウォーキング協会が認定した完歩スタンプを押印してもらえるようになるため、世界各国からの参加を期待できるようになるという。
後援するジョクジャ州政府は、地元の学生、市民団体を巻き込んだ一大行事にしようと意気込む。今年、教育局は環境教育や国際交流の場になるとして、州内の小中学校に参加を呼び掛けた。学生が中心となり、ごみ拾いをする非政府組織(NGO)「グリーン・テクノロジー」なども参加した。