地方の海外進出後押し 「ポップ文化」「SNS」で議論 地域間交流促進プログラム

 日本の自治体の国際化を促進する総務省所管の財団法人自治体国際化協会シンガポール事務所(クレア・シンガポール)が企画した「地域間交流促進プログラム」の参加者は22日、南ジャカルタのスミットマスビルで首都圏にある大学の日本語学科の学生と文化交流会を開いた。「ポップカルチャー」など事前に選んだテーマについてディスカッションを展開し、共通点や異なる慣習などについて相互理解を深めた。(小塩航大、写真も)

 インドネシア人15人と日本人12人は、5人前後の5グループに分かれて自己紹介。互いに緊張した様子で始まったが、会が進むにつれて日イのポップカルチャーなどについて話が弾み、打ち解け始めた。
 「ポップカルチャー」「食文化」「外国語教育」「結婚式」「フェイスブック、SNS、ブログ」のテーマを選び、事前に参加者がそれぞれ資料を作成。テーマごとに分かれたグループで発表を行った。
 結婚式について議論したグループでは、インドネシア人側がインドネシアの結婚式の慣習について説明。新婦が新郎の足を洗うことで夫への従順を決意する儀式について聞いた日本の参加者は驚いた様子。
 日本側が持参した結婚情報雑誌「ゼクシィ」やご祝儀袋にインドネシア人学生は興味津々。ジャカルタ国立大学のエリ・ダニアティさんは「ウェディングドレスを着てみたい。結婚式の習慣は国ごとに異なるが、女性の幸せを求める気持ちは一緒」と語った。
 大阪府堺市文化観光局の藤原真由美さんは「インドネシアの女性は伝統的な結婚式を大切にしている。ウェディングドレスに憧れるなど日本の女子大生と変わらないところもあった」と感想を語った。

■東南アジアで初
 日本の地方自治体から東南アジアへの注目が高まる中、クレア・シンガポールと全国市町村国際文化研修所(JIAM)などは地方自治体の職員を対象にシンガポールとインドネシアを訪問するプログラムを実施。同プログラムは2010年から開始され、今年で3回目。東南アジアは初めて訪問する。
 14―24日の日程で2カ国を訪れ、21―24日までインドネシアに滞在する。ジャカルタ特別州政府や内務省を訪問、日系企業が進出する工業団地や市内の小売販売を視察し、インドネシアの行政や経済への理解を深めた。インドネシアについて情報を得る機会が少ない参加者のために経済、政治、文化などを包括的に体験できるプログラム内容にしたという。
 ASEANの盟主で、高い経済成長率を維持しているインドネシアのプレゼンスが日本でも高まっていることから訪イを決定。参加者はインドネシアを重要な国として関心を抱いているという。観光促進、インフラ開発、企業進出などで日本の自治体とインドネシアとのつながりを作る足掛かりとしたい考えだ。
 佐賀県統括本部情報課の江口健二郎さんは「佐賀県に東南アジアからの観光客を呼び込みたい。将来的な顧客となる可能性を秘めている。ソーシャルネットワークを通じて佐賀の魅力を発信できたら」と語った。
 自治体国際化協会の三枝健二理事は「地方自治体と海外のネットワーク構築が重要だ。国際交流などのソフト面、地域物産品の販路拡大やインフラ輸出などのハード面で海外との接点を持とうとしている。インドネシアでも日本製品や技術への信頼は高く、日本の技術などが必要とされている。参加者は学んだことを地元へ持ち帰って生かしてほしい」と語った。

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