本場で奨励賞 イ人エイサー団 結成10年 那覇市で世界大会 囃子にガムランの音 衣装にバティック
インドネシア人エイサー団体「うーまく・エイサー・しんか・インドネシア」は10月6、7日、沖縄県那覇市で開催された「世界エイサー大会2012」に参加し、創作エイサーコンテストのグランプリ部門で審査員長特別奨励賞を受賞した。今月で結成10年。インドネシアの民族舞踊や伝統音楽を融合させ、衣装にもバティック(ろうけつ染め)を使用するなど独自のスタイルを確立している。代表のフェニタ・ニナンダさん(35、通称ペペン)は「本場の演武からたくさんのことを学んだ。また沖縄で公演することを目標に、もっと練習する」と意気込んでいる。(岡坂泰寛、写真も)
同団体が沖縄で公演するのは初めて。演武では、インドネシアの民族の力強さや文化の多様性を表現することを目指した。
那覇市の奥武山公園で6日に行われたグランプリ部門予選では、鍵盤打楽器や銅鑼を用いる民族音楽「ガムラン」やインドネシアで広く親しまれている愛国歌「インドネシア・プサカ」を囃子(はやし)に挿入した音楽に乗り、観衆の前で演武を披露。参加した13チーム中8チームに与えられる本戦への切符を手にした。
決勝では、アチェの伝統舞踊「サマンダンス」を踊りに織り交ぜた。審査員から「独創性が高く、うまく沖縄とインドネシアを融合させた」と評価を受け、急きょ設けられた審査員長特別奨励賞を受賞した。
同団体は2002年11月に結成した。きっかけは、創設者のペペンさんが高校生だった1995年、インドネシア独立50周年の行事で公演を行った諸見里青年団の演武を見たことだ。
勇壮な動き。力強い太鼓の音。「一瞬で魅了された」とペペンさん。インドネシア大学の日本語学科に進学し、2002年に友人ら9人で団体を結成。ビデオを見ながらエイサーの踊り方を学び、06年には実際に沖縄を訪れて本場の踊りを学んだ。
■年間で公演84回
現在参加しているメンバーは、学生や社会人など約50人に上る。公演回数は毎年増え続け、11年にはジャカルタ日本祭りや大学の日本文化祭などで年間84回をこなした。日系企業で社会人として働くペペンさんは「忙しいけど、やりがいがあるから続けられる」と話す。
沖縄との縁も深まっている。糸満市の古武道太鼓集団「風之舞」や今年のジャカルタ日本祭りで演舞を披露した「恩納村青年団エイサー」との交流が続き、日本とインドネシアでの招待公演などを今後計画している。
今月9日にはジャカルタの国際交流基金で凱旋公演を行い、日本人とインドネシア人ら50人が駆け付けた。