民主化議論で各国主導 バリ民主主義フォーラム イラン、アフガンも参加 「押しつけ」に反発も
インドネシア政府が主催し、アジア太平洋や中東諸国の首脳・外相らが民主主義のあり方などについて議論するバリ民主主義フォーラムが8、9の両日、バリ島ヌサドゥアで開かれた。1998年のスハルト独裁政権崩壊後、試行錯誤を繰り返しながら民主主義の価値観を築いてきた経験を各国と共有しようと2008年に初開催。ユドヨノ大統領は「この5年間に起こった民主化の動きから得た成果を整理する必要がある」と述べ、「アラブの春」の余波が続き、ミャンマーで改革が進行する中、民主主義の先例を各国に示すことで、国際社会での一層の存在感拡大を図る姿勢を改めて示した。
5回目の今年は83カ国・機関が参加し、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領と豪州のギラード首相がユドヨノ大統領とともに共同議長を務めた。
ユドヨノ大統領は「インドとインドネシアは地域、そして世界で最も大きな民主主義国であり続けている」「驚くべき民主主義制度への移行がミャンマーで展開されており、モンゴルや中央アジアの多くの国で民主主義が成長しつつある。そしてアラブの春は発展を続けている」と述べ、地域での民主化の進展を強調。
その上で、民主主義の継続・発展には経済的利益や政治的権利など市民が実感できる成果が必要との認識を示した。
李大統領は、民主化から目覚ましい経済成長を遂げてきた自国を引き合いに「アジアはより成熟した民主主義へ向けて活発な進展を遂げてきた」と強調。アジアとの一層の関係強化を図っているギラード首相は「われわれは民主的な将来へ向けた歩みを見せている国々へ実践的な支援を提供する用意がある」と呼び掛けた。
■多様な国出そろう
バリ民主主義フォーラムには「全方位外交」を掲げるインドネシアの外交方針もあり、タリバン政権崩壊からの再建を進めるアフガニスタンのカルザイ大統領や欧米と対立を深めるイランのアフマディネジャド大統領、インドネシアと同様、イスラムと民主主義、経済成長を共存させていると評価されているトルコのエルドアン首相など多様な国々の代表者が出席した。
カルザイ大統領は「民主主義は普遍的な理想の実現と(個々の国々の)固有の状況という現実のバランスが取れている限り、最も望ましい統治の形だ」と述べ、他国の制度を押しつけるだけではうまくいかないと主張。国際社会でイランが孤立を深める中、アフマディネジャド大統領は「バリ民主主義フォーラムは各国間の調和を作り出し得る」と表明。一方で、史上最も政治資金がつぎ込まれた米大統領選を念頭に「ある選挙は資本家の戦場となり、浪費の言いがかりとなった」と述べ、欧米型民主主義への批判を展開した。