【じゃらんじゃらん特集】 庶民が集うナイトマーケット バリ島デンパサール クレネン市場
アジアを旅行したら必ずその町の市場に行くという人がいる。庶民の暮らしぶりが手っ取り早く分かるからだ。バリ島デンパサールのクレネン市場では、昼間の市場が終わるとバリ名物ブタの丸焼きなどの屋台が現れ、さまざまな商品を売る露店が迷路のように並ぶ夜市が始まる。別名、肘と肘がぶつかり合う混雑した市場という意味の「パサール・センゴル」。バリ島最大規模のパサール・センゴル、クレネンの夜市に行ってみた。
屋台が集まる一角で一番目立っていたのはあめ色のバビグリン(ブタの丸焼き)だ。油と香辛料を何度も塗りながら時間をかけて、回しながら焼いたもので、皮はパリッとしていて、中は柔らかくてジューシー。注文するとご飯、腸詰、サテ(串焼き)、ラワールと呼ばれる野菜や肉などを細かく刻んで調味料とあえたものがついてくる。
供物が置かれたテーブルで食事を済ませた後、露店を見て回った。衣類、女性用下着、サンダル、おもちゃなど豊富な品揃えで見ていて楽しい。テレビやDVDプレイヤーのリモコンをずらりと並べた店やたばこの葉の量り売りもある。
バリらしいものでは女性の伝統衣装のクバヤや男性が正装のときに頭に巻くウダンだ。最近南部を中心によく見かける大型土産店もいいが、ここにくれば思いがけないバリのお土産が見つかるかもしれない。
クレネン市場をデンパサールの新しい観光スポットとして再開発しようという動きもあるそうだ。この日は、観光客らしき欧米人のグループがバビグリンを食べていたが、ツアー客を呼び込むには清潔や安全を確保することが課題になるだろう。
「確かに屋台周辺はごみが目立つので、きれいになるのはいいことです。でもこのごちゃごちゃした感じがいいという人もいます。夜市の楽しみは安く食べて手に届く商品をあれこれ見て回ること。この雰囲気は残してほしいですね」。1カ月に1度は家族と一緒に夜市にやってくるというバリ人主婦のワルダナさんが話した。 (北井香織、写真も)