東京国際映画祭でイ特集 ガリン、リリ両監督ら訪日 一挙7本上映
今月20―28日に六本木ヒルズをメイン会場として開かれる第25回東京国際映画祭(TIFF)で、インドネシアからの作品が7本出展される。毎年行われている「アジアの風」部門の特集として「インドネシア・エクスプレス〜3人のシネアスト」を設定。ガリン・ヌグロホ、リリ・リザ、エドウィンの3監督の6作品が上映されるほか、リリ監督の新作「ティモール島アタンブア39℃」はコンペティション部門で世界初公開となる。(上野太郎、写真も)
3監督は、国際交流基金の助成を受け、上映期間中に日本を訪問。それぞれの作品を日本の観客に紹介する。デビュー作の「一切れのパンの愛」(1991年)や「枕の上の葉」(98年)など、国際的な評価が高く、インドネシア映画界を代表する監督となったガリン氏は、日本軍政期から対オランダ独立戦争期を舞台に、インドネシア人初の司教として国家建設に身を投じた英雄スギヤプラナタ氏を描いた「スギヤ」(2012年)、宗教をテーマに寛容性を模索する人々の姿を描いた「目隠し」(11年)が上映される。
リリ監督作品は、「アタンブア〜」のほか、ブリトゥン島の貧しい家庭の子どもたちが、さまざまな問題を抱えながら地元の小学校でたくましく育っていく姿を描いたアンドレア・ヒラタのベストセラー小説を映画化し、インドネシア映画として歴代最高の興行成績を上げた「虹の兵士たち」(08年)、その続編の「夢追いかけて」(09年)が上映。カンヌ国際映画祭で短編が上映されたこともある気鋭のエドウィン監督作品は数々の映画祭で受賞歴がある長編デビュー作の「空を飛びたい盲目のブタ」(08年)のほか、日本公開された「ビューティフルデイズ」のラディア・シェリルやニコラス・サプトラが出演する最新作「動物園からのポストカード」(12年)の2作品が披露される。
15日には南ジャカルタのカフェで国際交流基金ジャカルタ日本センターによる記者会見があり、ガリン監督のほか、エドウィン監督作品のプロデューサーを務めるメイスク・タウリシア氏、リリ監督らが設立したマイルズ・フィルムの広報担当のアンダナリ氏、映画祭と併設して開かれる企画マーケットに参加する映画監督のモーリー・スルヤ氏とプロデューサーのラマ・アディ氏らが出席。同センターの小川忠所長は今回の上映や監督の訪日について、「日本、世界がインドネシアを理解する上で非常に重要だと思っている」とあいさつした。
同映画祭で受賞歴があり、審査員を務めたこともある常連のガリン監督は「(アジア映画界で重要な位置を占めるようになった)釜山国際映画祭も10年前に東京国際映画祭に来てノウハウなどを学んだ。七つの映画はインドネシアを代表する作品。東京でインドネシア作品がここまで上映されることをとてもうれしく思っている」と話した。
映画祭には、リリ監督作品のプロデューサーを務めるミラ・レスマナ氏、「スギヤ」主演のアニサ・ヘルタミ・クスマストゥティ氏、「目隠し」主演のヤヤン・C・ヌール氏らも参加。好調な経済発展を背景に世界での相対的地位を高めているインドネシアが、映画界でもその存在感を披露する映画祭になりそうだ。日程やチケット購入などの詳細は、ウェブサイト(2012. tiff-jp.net/ja/)で。